廃棄物の定義
2019年06月05日
廃棄物の定義については様々な解説がされています。ここでは、主要なサイト・資料を引用しつつ、重要なポイントを補足説明したうえで、CASE STUDYを行います。

廃棄物処理法第2条では、廃棄物を
「ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。」
と定義しています。
この条文の解釈として、通知で総合判断説が提示され、最高裁判所もそれを支持したという経緯があります。しかし現実には、総合判断説は日常実務で運用しにくいため、具体的な判断基準として「有価売却できるかどうか」が使われています。
総合判断説と日常実務での判断については、すでにウェブ上で解説記事が沢山ありますので、いくつかご紹介します。(社名敬称略)
また、買取価格より運賃のほうが高くなってしまい、排出元にとってはトータルで支払いのほうが多くなることがあります。これを手元マイナス、(産廃業界では)逆有償とも言います。
通知では、買取ってもらう業者のところに到着すれば有価物とみてよいとしつつも、運搬時については特に言及していない通知があります。運搬時は、総合判断することになりますが、これについても、解説記事をいくつかご紹介します。
CASE STUDY
事例
ある業者Xに3tの有価物を10円/㎏で回収に来てもらうことになりました。運賃は2万円/車かかります。10円/㎏×3t=3万円で売却すれば、運賃2万円を払っても1万円の収入となるため、廃棄物という扱いをしませんでした。
ところが、Xが自社工場で計量、検品すると、予定より量が少なく、しかも事前のサンプルより品質の悪い物が混入していることが判明しました。結果として、3万円ではなく1.5万円での買取りになりました。
これを相殺すると、1.5万円(買取)-2万円(運賃)=-0.5万円と赤字になってしまいました。これは手元マイナスとして運搬時だけでも廃棄物扱いとして、契約書とマニフェストを締結すべきでしょうか。
検討
もしこの取引が恒常的となるのであれば、手元マイナス取引と考えるべきでしょう。もちろん、その場合でも必ず運搬時も廃棄物扱いするべきとは言えませんが、そこは総合判断することとしてここでは扱いません。
<契約内容が変更になったと考えられないか>
この事例は、本来意図していた取引内容が変わり、契約内容が変更になったということです。当初の段階では、処理委託をしていたわけではありませんから、そこには問題はありません。結果として金額に変動があったということで、請求額が変わっただけ、という認識で問題ないのではないでしょうか。
この事例では、品質が悪いという要因もありますが、量が少ないだけだった場合は特にそうでしょう。
<もし買取すらできない場合>
もしこれが、買取りすらできないため、処分費が必要となった場合はどうでしょうか。このような場合は返品することが一般的と思いますが、改めて産業廃棄物として処理委託の手続きを踏むこともできるでしょう。
具体的には、まず当該"旧"有価物は業者Xの工場に置かせてもらいます。契約がなければ処分委託契約書を作成し、マニフェストを交付(運搬は終わっていますので、A,C1,D,E票だけ)します。マニフェストの交付事務代行を業者Xに委託する方法も考えられますが、現物の確認も含めて自社の社員がXの工場で直接交付したほうが望ましいでしょう。
その点、電子マニフェストなら現地に赴かずに登録できてしまいますが、そこは要注意です。電子マニフェストでも現物と登録内容の整合性チェックを求められています。(施行規則第8条の31の2第4号:当該産業廃棄物の種類~中略~が相違がないことを確認の上、登録すること)