火災?野焼き?

2019年06月05日

最近頻発するリサイクル業者の火事は、単なる火災なのでしょうか。わざと火をつけて火災を装った野焼きをしているのではないか、という疑念を抱く人もいるのではないでしょうか。 

統計を取っているわけではないのであくまで個人的印象ですが、ゴールデンウイークあたりから、廃棄物やスクラップの火災が多いと思いませんか?4月19日の埼玉久喜、5月3日の茨城筑西、5月8日の千葉成田、5月15日の茨城常総、5月20日の栃木市、5月24日の松本市と、連続しています。

2018年は雑品スクラップの規制や中国の輸入規制が強化され、その結果船積み基地での保管がなくなり、規制の目的の一つでもあった雑品スクラップの火災が減少したように感じていました。

しかし、中国の輸入制限は、廃プラ、雑品スクラップ、その他多くの廃棄物等に及び、国内に廃棄物が溢れかえり始めました。処理費も一時期に比べると2倍~3倍しても珍しくはないという状況です。

  • ゴールデンウィーク周辺は危険なタイミングだったのかも?

中間処理業者は、処理費の値上げができたとしても、中間処理後物の最終処分費も高騰しているため、入出荷のバランスをうまくとらないと在庫が膨れ上がることになります。在庫を溜めて搬出が遅れると、最終処分費がますます高騰して状況は悪化の一途をたどります。

保管量が増えると、それだけリチウムイオン電池などの発火原因物の混入リスクが高まりますし、発火の発見が遅くなり、消火も難しくなります。2018年末で中国は雑品スクラップの輸入を全面禁止しましたし、気温上昇や長期保管が蓄熱火災の可能性を高めるともいわれていますので、ゴールデンウイークでしばらく稼働が止まっていたため火災が起こりやすくなったのかもしれません。

  • 意図的ではなかったかもしれないが・・・

しかし、これが電池などからの発火や、蓄熱火災などの自然発火によるものではなく、実は意図的に火をつけていたのではないか、という疑問も生じます。意図的に火をつけなかったにしても、在庫が減るのだから燃えたって構やしないと考え、火災防止の努力を怠っていたかもしれません。

いずれにしても、下記のように何らかの罰則の対象になり得ます。仮に刑事責任を問われなくても、周辺の建物に延焼した場合は損害賠償責任も負うことになります。それでも、処理業者としては在庫が減るとコスト削減効果が高いことが多いでしょう。一発逆転を狙って火をつけないとも限りません。

排出事業者としては、中間処理後物の搬出先確保の状況や、保管場所の状況を把握しておきたいものです。

  • 関係するかもしれない罰則

まず、意図的でなかったとしても、過失によって出火した場合は、失火に該当する可能性があります。故意によるものではありませんので、業務上であっても3年以下の禁錮または150万円以下の罰金の対象で済みます。

一方で野焼きは、廃棄物処理法第16条の2で「何人も、次に掲げる方法による場合を除き、廃棄物を焼却してはならない。」として禁止されており、5年以下の懲役、1千万円以下の罰金の対象に、法人に対しては3億円以下の罰金の対象にしています。「廃棄物を焼却してはならない」ということで、故意、意図的に廃棄物を燃やすことを禁止しています。

スクラップや廃棄物の山を意図的に燃やした場合は、建築物ではないため建造物等以外放火罪にあたる可能性がありそうです。その場合は1年以上10年以下の懲役の対象ですので、野焼きより罰則は重くなります。

意図的に火をつけなかったとしても、「これだけ大量に保管したら燃えてしまうかもしれない」「リチウムイオン電池が入っていそうな機器の混入が目に入ったが、あれが原因で出荷してもいいか」などと思っていた場合は「未必の故意」があったとして、有罪になる可能性もあります。これを立証するのは難しいですが。

いずれにせよ、今年いっぱいは、火災や不法投棄に要注意です。