アルミとステンレスの見分け方

2020年05月25日

今回は、当工場で取り扱っている非鉄金属の中でも、とりわけ見かけることの多い、アルミとステンレスについてお話いたします。

アルミ製品もステンレス製品も、見た目は基本白銀色で、単純に見ただけではどちらなのか判断がつきづらいものですが、取り扱いは全く別物で、リサイクルするためにはしっかり選別しなければなりません。

アルミ製品としてよく目にするものは、アルミの飲料缶や窓のサッシなどの建築部材だと思います。

アルミ缶はスチール缶などと一緒に当工場へ搬入されますが、磁力選別で選別が容易ですので、今回は説明を割愛いたします。

また、ステンレス製品は建築部材や配管などに使われており、素人目にはアルミの建築部材との違いはすぐには分かりません。

鉄スクラップと異なり、基本的にはアルミとステンレスはともに磁石につきません。(一部ステンレスには磁石につく13クロムと呼ばれる種類のものがあります。)

そもそもアルミとステンレスとはどういった金属かというと、

アルミと略してはいますが、正式にはアルミニウム(Al)といい、約200年前に製錬方法が発明された新しい金属です。

その原料は「ボーキサイト」という酸化アルミニウムを主成分とした鉱石で、これを製錬加工してアルミニウムの製品を作っていきます。その製錬の過程で大量の電気を使用するため、他の金属より発明が遅くなったのです。

一方ステンレスは、鉄(Fe)を主成分(50%以上)とした、クロム(Cr)とニッケル(Ni)との合金です。

こちらも1900年代初めに発明された新しい合金で、ようやく誕生から100年を迎えたところです。

ステンレスはその配合の割合によって種類が分かれており、代表的なものがクロム18%とニッケル8%の「SUS304」です。クロムやニッケル以外にも、用途に応じて他の金属を化合することで、さまざまな性質の合金を作り出すことができます。

では、下の2枚の写真はどちらがステンレスで、どちらがアルミでしょうか。 

答えは、、、、

写真だけだはわかりづらいのですが、上の写真がステンレス、下の写真がアルミです。

アルミとステンレスにはいくつかの判別できるポイントがあります。

一つは、重さです。

アルミとステンレスはそれぞれ比重が異なり、アルミの方が重量は軽くなります。その違いのため、使われる部材にも特色が現れ、軽さと強度を両立した部材を作るときはアルミが使われることが多いです。飛行機に使われる部品などが特にそうです。

数字にするとアルミの比重は2.7kg/cm3ですが、ステンレスの比重は7.93kg/cm3で鉄に近く、約3倍の差があります。

まず持ってみて、重いか軽いかで判別します。

次に硬さが違います。

ステンレスの方がアルミよりも固く、強度が高いです。

硬さの判別は、それぞれ曲げてみてもよいのですが、カッターなどで傷をつけてみるとわかりやすいです。

下記の写真の通り、カッターで刃を当てたとき、アルミ製品には簡単に傷をつけられますが、ステンレスには傷がなかなかつきません。

この違いも使用される製品に違いをもたらし、より強度を求める際はステンレスが使用され、また柔らかいということは加工しやすくもあるため、より細かい加工をする製品にはアルミが使用されます。 

ステンレスのカッター跡 傷がつくものの薄い
ステンレスのカッター跡 傷がつくものの薄い
アルミのカッター跡 深くわかりやすい傷がつく
アルミのカッター跡 深くわかりやすい傷がつく

他にも、アルミの方がステンレスよりも通電性が高く電線にも使用されたり、ステンレスの方が耐食性が高いため、キッチンの流し台など水回りにも使用されたりします。

このように、アルミとステンレスはそれぞれの特徴によって使い分けがなされており、身の回りにある白銀色の金属製品が何でできているのか、調べてみても面白いかもしれません。

当工場では、基本的には重さと硬さで選別を行っており、その後アルミとステンレスをそれぞれ、商社を通じて再生メーカーへと売却しています。

アルミやステンレスを選別することのメリットですが、

再生アルミは加工がしやすいため、原料アルミから製造するよりも二酸化炭素排出量などの環境負荷が小さいということ、またステンレスも耐食性が高いために再生不可となりづらく、100%に近い割合で再生することができるという、それぞれ優秀なリサイクル原料です。

ですが、アルミやステンレスは、鉄スクラップにくらべサイズが小さいものも多く、磁石にもつかないためにピックアップされづらく、廃棄物と混合されて当工場へ搬入されることも多いです。

汚れているとリサイクルすることができないこともありますし、選別の目をすり抜け、埋め立てや焼却へ回ってしまうこともあり、とても勿体ないです。

ちなみに、ステンレスは英語の正式名称はstainless steelとなり、stain(錆び)less(ない)steel(鉄)という意味ですが、「ゴミとして捨てんなよ」というのも併せて覚えておいてくださると幸いです。


(メジャーヴィーナス・ジャパン 田中慎也)

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