コロナ対策法改正
新型コロナ対策で廃棄物処理法が改正されています。その中でも、排出事業者、処理業者に関係が深い部分をご紹介しています。
いずれも、感染が拡大し、自治体行政や処理業者の業務が停止、機能低下した場合のことを考えて、規制緩和(特に期限延長)措置を設けています。
環境省のコロナ対策関連トップページ
環境省のコロナ対策の廃棄物関連改正をまとめてあるページです。 本コラムは、主にこのページから引用、解説しています。

諸々の期間を延ばす特例
様々な特例があるのですが、下記の2つが影響大でしょう。
- マニフェスト交付等状況報告書、多量排出事業者などの年次報告期限が延長されました。
6月末→10月末へ
- 紙&電子マニフェストの各種期限が延長されました。
B2,D票返送期限:90日→120日へ (特管は60日のまま)
E票返送期限:180日→240日へ
処理業者による処理後の返送/報告期限:10日→30日へ
もし、マニフェストの返送がこれほど遅くなるのであれば、相当処理が滞っていることになります。延長後の期限に関わらず、従来の期限を超えた時点で、まずは電話をするなりして自主的に処理状況を確認されたほうが良いと思います。
新型コロナウイルス感染症に対処するための
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の特例を定める省令
↓こちらの方が詳しいです
新型コロナウイルス感染症に対処するための廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の特例を定める省令の施行について(通知)
保管上限特例+処理業の許可不要特例
- 優良認定業者限定ですが、コロナの影響がある場合に、下記の通り保管上限が引き上げになりました。
(1)汚泥(有機汚泥を除く。) 35 日
(2)安定型産業廃棄物 35 日
(3)鉱さい 35 日
(4)ばいじん 35 日
(5)建設廃棄物の木くず、コンクリートの破片(石綿含有産業廃棄物を除く。) 49 日
(6)建設廃棄物のアスファルト・コンクリートの破片 91 日
これだけ保管余力がある処理業者は、それほど多くないでしょう。普段より大目に見てもよい、ということではありますが、コロナ禍が落ち着いた後に適正に処理できなければなりません。
- 環境大臣か市町村が一般廃棄物処理業、環境大臣か都道府県が産業廃棄物処理業について指定することで、処理業の許可なく処理できることになりました。
コロナの影響で市町村や都道府県で許可事務などが滞る可能性を踏まえ、環境大臣が代わりに指定できるようにしています。
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令」
について
↓こちらの方が長いですが、詳しいです。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令の施行及び
新型コロナウイルス感染症に係る廃棄物の円滑な処理等について(通知)
PCB各種届出
PCBの6月末の保管届を30日程度、その他の変更などの届出も期限を10日程度伸ばしてよい、ということです。上記のような法改正ではなく、通知で「行政としてお咎めはしないでおこう」と言っている微妙なスタイルでもあります。基本的には、法律の期限内で届出しましょう。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴うポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法に規定する義務の履行への対応について(通知)
許可更新申請
許可の更新申請手続きが、窓口ではなく郵送やメールでの提出が推奨されています。これまでは窓口で申請し、書類に不備があればそれを修正して後日再提出することがありましたが、不備があってもとりあえず受付、受領するように、環境省が自治体に要請しています。受領することで、とりあえず許可の更新期限前の申請がされたことになり、古い許可証が期限後も有効になるためです。
なお、申請書類に不備があっても、後日訂正すれば法律上問題ありません。したがって、今回のコロナ対策での特例措置というより、法律の運用の問題です。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けた
更新許可事務における対応について(通知) ←同名、ほぼ同じ内容の通知が4/27、5/12に出ていますが、新しい方の通知をリンクします
処理が滞ることを見越した対策
処理業者がコロナ感染の影響で処理ができなくなった場合を想定し、再委託先となる可能性がある別の業者を事前確認することや、排出事業者が引き渡した廃棄物を回収して、改めて別の業者に委託することも示唆されています。
分かりやすく言うと、複数の処理業者との関係を築いておいてください、ということです。コロナ対策として、いわゆる、処理ルートの複線化、複数処理先の確保が改めて注目されているのです。
なお、処理業者が再委託する場合には、事前に排出事業者から書面承諾を得なければなりませんが、これを紙ではなく、電子メールでも差支えないと説明しています。もちろん、法律上これで問題ないのですが、あえて最軽量ともいえる運用方法を紹介しているところから、環境省の危機感が伝わってきます。
具体的には、処理業者が、再委託の承諾書の記載事項をメール本文に記載、排出事業者に送信し、排出事業者はこれに対して「問題ない・了承した」旨が分かるコメントを添えて返信すればよいでしょう。
コロナ対策として、処理ルートを複数確保したいと考えられている場合は、是非メジャーヴィーナス・ジャパンまでお問い合わせください。本格的に産業廃棄物処理を始めたのが2017年ですので、新しい処理先として注目されています。