コロナ禍と業界への影響

2020年05月20日

新型コロナウイルスの感染拡大防止対策のために、大きな変化が求められています。あまりにも沢山のテーマが挙げられていますが、ここでは資源循環業界に対する影響に絞って、考えてみたいと思います。

自粛要請中の経営への影響

様々な業界に対して営業の自粛要請が出されていますが、資源循環業界はその対象となっていません。むしろ新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針のp.33以降の「(別添)緊急事態宣言時に事業の継続が求められる事業者」で、「3.国民の安定的な生活の確保」「4.社会の安定の維持」に不可欠なサービスを提供する関係事業者として事業継続が要請されています。

しかし、他の多くの業界で営業が自粛されているのですから、取り扱い量は減少しています。取引先の業界や廃棄物等の種類によりますが、2割~8割減と差が大きいようです(一般廃棄物など増加している例もあります)。中国による廃棄物の輸入禁止措置によって、国内処理が逼迫していたころとは全く状況が違います。

この状況がいつまで続くのかにもよりますが、資源循環の業界でも経営が立ち行かなくなるケースが増えてくるでしょう。

この廃棄物業界の特徴として、とりあえず受入れだけして保管量を積み増しておき、処理業務を縮小しても、処理費収入は確保できるため、短期的には延命できてしまいます。搬入量が少ないと、かえってそのような誘惑が出てきます。これをズルズル続けると、いつの間にか大量保管になりかねません。

一方、従業員が新型コロナウイルスに感染した場合は、一定期間休業や処理業務を縮小する可能性があります。 折しも環境省から、条件付きで優良認定業者について保管量の上限を緩和する改正がされたところですが、これはコロナによる休業の場合を想定しています。しかし優良認定業者でない業者が休業した場合も、背に腹は代えられないため、(不法投棄する意思がなくても)違反覚悟で積み増し、延命を図るかもしれません。

持ちこたえられず事実上の倒産に追い込まれても、現状では裁判所の手続きが進みにくく実態はすぐには分かりません。M&Aや他社に支援を求めるとしても、オンラインで相談や情報交換はできるかもしれませんが、最終的な結論が出せる状況ではありません。

つまり、現状がなかなか表面化せず、実態が分かりにくいのです。

他の業界でも本格倒産はこれからというくらいです。比較的影響が少ない資源循環業界であっても、「何事もなく終わるだろう」などと楽観視すべきではないでしょう。

自粛要請緩和後はどうなるか

自粛要請が緩和されても、しばらくは不要不急な外出は控えられるでしょう。営業が直接足を運ばないのは、怠慢だという風潮も減り、可能な限り電話やテレビ会議を使用することが増えるはずです。実際、直接会って、現場や現物の確認をする代わりに、スマートフォンで現場を映しながら案内するだけでも、思いのほか状況は分かります。録画をすれば見落としが減るため、かえって以前よりよくなるかもしれません。

電子契約や電子マニフェストの導入も、各社の業務効率化、テレワークの促進に有効です。電子契約ができれば、料金の改訂もスムーズにできますので、急な市場の変化にも対応しやすくなります。 

これらのICTインフラが整っているか、従業員が対応できるかどうかが、処理業者が排出事業者から選択してもらうための重要なファクターになるかもしれません。既に「電子契約に対応できる業者を紹介して欲しい」という相談もあります。

また、テレワークや営業の直行直帰ができる会社の方が、人員の採用もやりやすくなるでしょう。そのような会社では、より一層ICT対応が進むという好循環につながります。コロナで加速するであろう、これらICT化の動きについて行けるかどうかが、ボディーブローのように効いてくるかもしれません。

業界への影響は?

短期的な倒産は当然想定すべきでしょう。その場合、排出事業者としては、委託していた会社が倒産し、現地に残った廃棄物の撤去をさせられることになりかねません。心配な場合は、コロナ前のデータでもよいので、委託先の経営状態を改めてチェックするとよいでしょう。 

仮に廃棄物の積み増しで短期延命できたとしても、自粛緩和後に積んでおいた廃棄物を適正処理できるかが問題です。また、加速するICT、電子化に対応できない処理業者は、排出事業者からそっぽを向かれ、徐々に経営的に追い込まれるかもしれません。

このように、短期だけでなく中長期的にも行き詰る業者が増加し、倒産やM&Aは増えてくるかもしれません。それでも資源循環業界全体としての需要が減るわけではないので、雇用が減るわけではありません。

最終的に法人が整理統合され、過当競争が抑えられ、経営基盤が整った会社が増えることで、業界全体の底上げにつながることを期待したいところです。