トラックの上物・荷台のリサイクル
寒さもひとしお身にしみるころ、皆様いかがお過ごしでしょうか。
当工場も年末にむけ、廃棄物もスクラップも搬入が増え、忙しくなってまいりました。
今回は、有価物として買取を行っているアルミ製のトラックの荷台についてご説明いたします。
日本の物流の約9割を担うトラックですが、街中で銀色の箱を架装したトラックで貨物を運送しているところを、よく見かけると思います。

架装の箱は、後方のみ開くものや、箱の両脇が開くウイングと呼ばれるものがありますが、そのほとんどがアルミをメインとして作られています。
アルミニウムは軽量のため、積載重量の制限が厳しい物流のトラックには向いています。しかし、強度は鉄やステンレスに劣るため、車両はそのままで架装の箱のみ取り換えることがあります。
その取り換えた箱を、当工場ではアルミの雑品として有価買取を行っています。

上記のままでは大きすぎて、アルミ以外の物(不純物)も多いので、再生できません。
ここからさらに解体・選別をして、非鉄金属を専門に扱う商社へ売却しております。

不純物というのは、アルミの板同士を留めているビスや、箱の床板の木や、強度を出すための鉄枠などです。
これらを分けていきながら、ビスのついていない純度の高いアルミと、ビスのついているアルミ雑品にしていきます。
そして純度の高い方を、さらにプレス(圧縮)して輸送効率を高め、出荷しています。
不純物が付着している方は、プレスせずバラバラのまま出荷し、出荷先でさらに選別が行われます。

こういったアルミ製品ですが、現在は鉄スクラップよりも取引単価が高いものの、不純物として鉄などが多いと、途端に鉄スクラップよりも安くなってしまいます。それはアルミスクラップを再度アルミ製品に再生する際に、不純物が多いとアルミとして再生できないため、選別や不純物の処分費用がかかるためです。
また、床材に廃プラスチックや木くずが使用されていると、こちらは基本的に処分費がかかるものなので、あまり量が多いと買取ができません。
さらに、金属スクラップの値段は、経済情勢に大きく左右されるもので、ほんの1年前まで買取できていた程度の不純物の付着したアルミ雑品も、今年になって買取できなくなるということも起きてしまします。不純物の処分費の高騰や、人件費の上昇が、選別後のアルミの相場によって、売却額を上回ってしまうからです。
師走は、物流のためにトラックもたくさん走っていますが、凹んだり汚れて役目を終えたアルミの荷台は、こうやって再生の道をたどって、また皆さんの身の回りにやってくるのだと、思いを馳せてみて下さい。
良いお年をお迎えください。
メジャーヴィーナス・ジャパン株式会社 田中慎也