毎年発生する災害廃棄物をどうするか

2019年11月20日

風水害、地震による災害が毎年、それも複数回発生していますが、その際に問題になるのは災害廃棄物の処理です。東日本大震災以降、災害廃棄物処理について法制度の整備や、自治体ー国ー民間業者を含めた関係者間のネットワークづくりなどが進んでいます。しかし、今後本当に毎年大量の災害廃棄物が発生するのだとすると、更なる対策が必要になると思われます。

D.Waste-Netの災害時の支援の仕組み
D.Waste-Netの災害時の支援の仕組み

上記の図は、D.Waste-Netというネットワークで、災害廃棄物に関する各関係者、団体間での情報交換や支援要請の枠組みです。このようなインターネット上の仕組みだけでなく、事前に計画を立てること、シミュレーションを行うこと、必要な施設を準備しておくこと、関係者に研修を行うこと、など環境省や内閣府が中心になって対策を立てています。災害廃棄物に関する専用のウェブサイト「災害廃棄物対策情報サイト」もありますので、詳細はそちらをご覧ください。

災害廃棄物は本当に毎年発生しています

災害廃棄物の発生が毎年あるというのは感覚的なものではなく、例えば上記「災害廃棄物対策情報サイト」内の「災害廃棄物処理のアーカイブ」では、過去の災害廃棄物対策の実施状況が掲載されています。これを見ると、以下の通り最近は毎年複数回、災害廃棄物が発生していることが分かります。環境省としても地震はともかく、風水害については気候変動の影響であると認識しているようですが、そうだとすると今後も毎年、年々悪化していくと想定すべきでしょう。

令和元年=3件、平成30年=3件、平成29年=2件、平成28年=4件、平成27年=1件、平成26年=1件、平成25年=1件、平成24年=0件、平成23年=1件、平成22年~8年=0件、平成7年1件

「災害廃棄物対策情報サイト」 のURLがhttps://kouikishori.env.go.jp/archive/ 

であるように、量が多いことと、被災した地元処理施設での処理に期待することが出来ないため、災害廃棄物は広域的な処理を前提として計画を立てなければなりません。それも処理能力を頼るのであれば、民間の産業廃棄物業者と協力しなければなりません。例えば、弊社の親会社の大栄環境グループは関西圏に処理施設を保有していながら、関東圏の自治体とも災害廃棄物の協定を締結していますし、協定がなくても都度対応しています。

異次元の施設整備?

さて、現在の災害廃棄物対策は、広域処理、つまり民間の処理業者につなぐところまでで終わっており、処理業者の処理能力については正式には関知していないようです。災害廃棄物対策の範疇ではないのは当然ですが、もしかすると今後はこの問題についても検討しなければならなかもしれません。

というのも、台風19号の災害廃棄物は、去年7月の西日本豪雨の際に岡山県や広島県などで排出された約200万トンを上回る見通しだそうです。ただでさえ中国の廃棄物輸入規制によって、国内の産業廃棄物処理が逼迫しています。もし毎年数百万トンクラスの災害廃棄物が発生するのだとすると、異次元緩和ならぬ処理施設の異次元整備が必要なのではないでしょうか。

例えば、産業廃棄物、一般廃棄物、有価物かに係わらず自動選別、マテリアルリサイクル、焼却・熱回収、埋立処分までを総合的に行える、一定規模の施設を、災害廃棄物の発生可能性や物流を考慮して、計画的に各地域に配置するのです。平常時には近隣の一般廃棄物の処理を行うとともに、民業圧迫をしない程度に産業廃棄物も受入れます。これを国が中心となって計画を立てて、設置運営はノウハウがある民間が受託するという形が良いでしょうか。原発事故関連廃棄物の最終処分場も大切ですが、毎年発生する災害廃棄物の処理は現在進行形の目の前の課題として、検討していただきたいと思います。