マニフェストの記載方法が分かりにくい問題

2020年09月16日

マニフェストには一見しただけでは書き方が分からない項目がいくつもあります。名称の意味が分からない、誰が書くのか分からない、そもそも必要性が薄い項目もありますが、不適切な記載は法令違反になりますので注意が必要です。(百万円以下の罰金、1年以下の懲役の対象)

その意味が分からない欄の筆頭として、マニフェストの中央少し上にある、横に細長い2つの欄を挙げることができます。

記載欄「中間処理産業廃棄物」とは 

1つ目の「中間処理産業廃棄物」の欄には、中間処理業者が中間処理後の産業廃棄物を外部委託する際に、(排出事業者から受け取った)もともとの産業廃棄物のマニフェストの情報を書きます。中間処理産業廃棄物とは、中間処理後の産業廃棄物のことです。

記載欄が狭いため、複数の排出事業者の産業廃棄物が含まれている場合はすべてを記載することはできません。そこで、これと同様の情報を帳簿にも記載しているため、「帳簿記載の通り」にチェックをすることになります(上記の法定様式ではチェック欄はありませんが、市販のマニフェストにはあります)。それにしても、帳簿があるのにマニフェストにこれを記載する必要はあるのでしょうか?

なお、排出事業者には関係ない欄ですので、斜線を引くことになります。何を書くべきか分からないからといって、とりあえずチェックを入れてしまうと、おかしなことになります。空欄にしておくと、記載欄の意味が分からず、放置しているだけだと思われかねませんので、これも良くありません。

記載欄「最終処分の場所 」とは

2つめの「最終処分の場所」欄には、中間処理後に最終処分することになっている場所を記載するのですが、処理委託契約書に最終処分の場所は記載してあります。そのため、最終処分の予定先が複数である場合には「委託契約書記載の通り」にチェックを入れてよいとされています(これも法定様式にはチェック欄なし)。

最終処分先が1か所の場合は「当欄記載の通り」にチェックしてキチンと記載するべきなのですが、実際には「委託契約書記載の通り」にチェック を入れているだけです。そもそも、マニフェストにこの欄は必要なのでしょうか?

また、「当欄記載の通り」にチェックして いるのに、何も記載していないこともありますが、これではいけません。

その他の間違い易い記載欄

引渡し=交付時に計量できない場合、「数量」欄を空欄にしていることがあります。しかし「数量」の記載は義務であり、通知によると、容器の個数、体積(目分量でよい)、車両の台数(4t車1台など)のように、単位は何でもよいとされています。ユーザー目線に立てば、マニフェストにもそのように書いてほしいところです。法定様式はともかく市販のマニフェスト(事実上は環境省が監修しています)の記載欄のすぐ横に注意書きをすべきでしょう。

「運搬受託者」欄は交付時に排出事業者が記載しておく欄ですが、「運搬受託」欄は、収集運搬業者が引き渡しを受けた時に記載する欄です。ところが、引き渡す前から両方とも記載されていることがあります。

市販のマニフェストには、A票で記載しない部分には網掛けがしてあるのですが、誰が書く欄かは分かりません。もう少し工夫が欲しいところです。

繰り返しになりますが、環境省の通知「産業廃棄物管理票制度の運用について」や、全国産業資源循環連合会が発行する記載要領などの別資料に説明があります。間違いなく記載をしてほしいのであれば、記載欄のすぐ近くに詳細説明をつけるべきなのですが、正直スペースが足りません。さて、どうしましょうか?

特管用マニフェストと分けては?

法定様式と市販のマニフェストの最大の違いは、産業廃棄物の種類をチェックによる選択式にしているかどうかでしょう。これを普通産業廃棄物用と特別管理産業廃棄物用の2パターンに分けるだけでも、市販のマニフェストのスペースは空くはずです。

マニフェストの記載欄の整理・合理化を

マニフェストの目的を、引き渡し時に「廃棄物の内容と運搬/処分業者」を明確にし、各処理業者が処理終了報告をすることと考えれば、本当に必要な記載項目はそれほど多くないと思います。上記の横に長い2項目はもちろんのこと、マニフェストの引渡し現場では現物が目の前にあるのに「荷姿」を法定記載事項にしているところなど、いかにも机上の空論で記載事項が決められたことが分かります。

一方、危険なものなどについて注意が必要な場合もありますが、現在のマニフェストでは逆にそれらの情報を記載する欄が少ないと思います。記載項目を宅配便の伝票程度のシンプルなモノに絞り込み、記載方法を丁寧に説明し、危険性情報のチェックや自由記述欄を増やし、大きく見やすくするなど、抜本的に見直した方がよいのではないでしょうか。


こちらの記事もおすすめ

過積載

2020年12月24日

最大積載量を超える量の荷物を車両に載せること。法令違反であり、車両のバランスを崩しやすく、ブレーキも聞きにくくなるため事故を起こすリスクが高まりますし、車両や道路への負荷も高まります。

ガス切り

2020年12月23日

がすぎり、と言う。ガス切断(がすせつだん)、ガス溶断(がすようだん)ともいう。

過剰保管

2020年12月16日

適正な量を超えて保管している状況を指す言葉と思われますが、明確な定義はありません。保管基準に定める上限を超えている場合には過剰保管と言うべきかもしれませんが、法律用語ではありません。そのため、保管基準違反と過剰保管、過剰保管と不法投棄の違いは明確ではなく、現場の実態に照らしても判別することが難しいことがあります。

看板

2020年12月15日

看板とは、廃棄物処理法の条文で使用される用語ではありませんが、保管基準により設置が義務付けられた“掲示板”(けいじばん)を指していることが多いようです。許可の看板、保管場所の看板、置き場の看板、のように使われることがあります。なお、「置き場」も法律用語ではありません。

処理困難通知とは

2020年12月09日

処理困難通知を簡単に説明すると、処理業者が排出事業者に「処理ができなくなったので、もう廃棄物を持ってこないでください」と伝えるものです。通知を受けた排出事業者は、委託停止はもちろん、現状を把握し、環境上の問題がある場合は対策を講じて、その結果を都道府県知事に報告しなければなりません。

現地確認/実地確認の実施、または処理状況の確認は、排出事業者の注意義務として委託基準に含まれています(注意義務については、こちらの記事をご参照ください)。記事にもある通り、処理状況は実地に確認する方法を筆頭に、公開情報の確認などが推奨されています。しかし、それで本当に、適正処理される確証が持てるのでしょうか?毎年現地確認しておけばよいというのは、環境省と都道府県職員と排出事業者がお互いに作り出した、何の根拠もない共同幻想かもしれません。