プラは再生可能・生分解素材へ&サーマルリサイクルから炭素貯留へ

2019年10月01日

ほんの数年前、「脱炭素社会は無理があるから、低炭素社会と言って欲しい」と公言している日本企業が多くありましたが、今やそんな意見を言うことなど憚られるのではないでしょうか。PCBもアスベストもそうだったように、二酸化炭素はゼロに、プラスチックもゼロに、という世界になるのかもしれません。

キットカットの外袋が紙に

身近な例を挙げると、キットカットの外袋がプラスチックから紙に変更になったという動きがあります。メーカーであるネスレのプレスリリースによると、9月後半出荷分から紙に変更されていますので、既にほぼ入れ替わっているはずです。早速購入したのですが、以前はテカテカに照明を反射していたパッケージが、紙に切り替わったということで落ち着いた印象がありました。

これまでにない技術開発が必要だったということで、このページで苦労話も紹介されています。袋ですから大変だったということは分かるのですが、お菓子コーナーを見回すと、紙のパッケージ(箱)に入ったお菓子など珍しくありません。何十年も前からある単なる紙の箱ですが、今回のリニューアル・キットカットはようやくそこに追いついただけなのです。

それに、これだと脱プラではなく、低プラです。

キットカットの個包装は?

そこで、ネスレが次の課題として挙げているのは、2021年までに「個包装をリサイクルしやすい単一素材にする」ということです。現状、プラスチックにアルミラミネートされていますから、そこを改善するようです。さらに「将来的には、海洋生分解性素材など、より環境負荷の少ない素材への変更に向けて、検証を続けていきます」ということです。

保存性の問題も考えてのことでしょう、現段階で個包装も紙にするめどは立っていないので、今後の検討課題とするようです。

脱プラを目標とすると、個包装がないお菓子、なかでもポテトチップスなどのスナック類には油があるので紙包装にするのはなかなか大変かもしれません。レトルト食品の保存性の担保はどうしたらよいのでしょうか。缶詰に回帰するのでしょうか。

紙の他に再生可能な素材としては、金属(アルミ、スチール)ガラス、陶磁磁器くずが食品包装、保存用に使われてきました。新素材としては、海洋生分解性素材(プラスチック)、セルロースナノファイバー(CNF)辺りも考えられるかもしれません。

容リ法はどうするの?

プラスチック袋が紙袋になると、リサイクルしやすくなります。金属やガラス容器はもちろん、マテリアルリサイクルになります。ところが、海洋分解性素材やCNFが容器包装に使用されてしまうと、現状の容器包装リサイクル法(容リ法)の枠組みで対応できるのか疑問です。見た目に分かりやすい違いがない限り(メーカーが自主回収するのでない限り)、結局は単なるプラスチック容器と同じ扱いで、サーマルリサイクルという名の焼却になりかねません。再生可能素材も海洋分解性素材もCNFも、完全に分別できないとマテリアルリサイクルの阻害要因になるからです。

このような、複数種のプラスチックが混合した雑多な容リプラをどうするのかは、今後も大きな問題です。考えられる方法として、下記の3つ(ここでは単純埋立は除きます)が考えられます。

  1. 赤外線その他の高度な選別機を何台も通してマテリアルリサイクル
  2. そのままサーマルリサイクル
  3. 固化させて保管

この中で、最もCO2の排出量が少ないのは、おそらく3.固化させて保管、だと思います。容器包装リサイクル法という名前ではありますが、無理やりリサイクルをせずに、プラスチックの安定化保管をしたほうが低・脱炭素になるはずです。CCS(二酸化炭素回収貯留:Carbon Capture and Storage)に似ていますが、こちらのほうが技術的にも容易で、物性も安定しています。いわばプラスチック内炭素貯留(PCS:Plastic Carbon Storage)と言っていいでしょう。回収(Capture)が不要&固体なので管理しやすいはずです。

リサイクルから炭素貯留へ

実は、資源循環の近未来のトレンド(優先順位)は、「リサイクルから炭素貯留へ」だと思っているのですが、いかがでしょうか。 具体的には3Rを再編して「リデュース」「リユース」「マテリアルリサイクル」「PCS」「サーマルリカバリー」の優先順位とするのです。対象は、容器包装だけでなく、ASR、シュレッダーダストなど広義のミックスプラ全般です。

これを実現するためには技術開発と法制化が必要です。PCS(プラスチック内炭素貯留)はプラスチックを固化させるのですから、 有害ガスの揮散、発熱や火災などの防止ができる、固化・貯留の技術開発が必要となるでしょう。さらには、法律上の位置づけを明確にしなければなりません。

PCSは資源循環業界の気候変動対策として有力な選択肢だと思うのですが、いかがでしょうか。

(注)プラスチック内炭素貯留 =PCS(Plastic Carbon Storage)は当コラムの造語です。