現地確認の限界とIoTの可能性

2020年12月04日

現地確認/実地確認の実施、または処理状況の確認は、排出事業者の注意義務として委託基準に含まれています(注意義務については、こちらの記事をご参照ください)。記事にもある通り、処理状況は実地に確認する方法を筆頭に、公開情報の確認などが推奨されています。しかし、それで本当に、適正処理される確証が持てるのでしょうか?毎年現地確認しておけばよいというのは、環境省と都道府県職員と排出事業者がお互いに作り出した、何の根拠もない共同幻想かもしれません。

汚水の放流
汚水の放流

その証拠に、ダイコーによるココ壱番屋の冷凍ビーフカツなどの不正転売事件が挙げられます。他にも熊本清掃社の汚染水排出事件や、最近発覚した松本建設(処理業者)が30年間も汚泥を下水に放流していたという事件もあります。ダイコーや熊本清掃社は、国の認定を受けていましたし、松本建設は30年間も発覚しなかったというのですから、行政が現地を確認したり、認定時に相応の注意を払っていたからといって不正に気付くとは限らないことが露呈してしまいました。特にビーフカツの不正転売事件は社会的に大問題となったこともあり、立ち入り検査マニュアルの強化や行政職員の研修などにより対処しようとしました。しかしどこまで行っても、その場にいない時に、隠れて行われていることを見抜くのは至難の業です。

見抜くためには、何らかの形で違反行為の痕跡や予兆を見つけるという高度なスキルが必要になります。もちろん、上記の写真のような、分かりやすい痕跡を残すはずがありません。

では、どうしたらよいのか?

答えは、できるだけ「常時監視する」だと思います。

常時監視の一つの方法は、地元住民の方の協力を得ることです。地元に住んでいる方は、常時近所にいるのですから、年に1回行っただけでは分からないことに気付くかもしれません。もちろん、漏れはありますし、アナログですし、場内まで見るわけではありません。何よりうまく協力を得られるとは限りません。そのため法制度として設計することも、ガイドライン化することもできませんが、現地確認時に地元住民に話を聞くことは有効ではあるでしょう。

もう一つの方法は、IoTの活用です。トラックスケールとマニフェストを連動させ車両による出入りの重量や品目を把握し、保管場所の保管量、焼却や水処理等の施設の運転状況、排ガス、排水、騒音、悪臭等の値を全てIoTでモニタリングし、AIで異常がないか監視します。どこまでやるかは、処理方法、施設によって変えるべきでしょう。

IoT設備が適切に設置、運用されているかは第三者機関が毎年検査すればよいでしょう。第三者機関の運用コストは、例えば直接的には処理業者が負担し、排出事業者は情報閲覧に費用を支払い、その代わり現地確認を不要とします(努力義務でしかない現地確認を不要とするのは違和感がありますが)。

もちろん、これを導入した処理業者はスーパー優良業者ということで、許可の更新は不要、契約書もマニフェストも不要とすれば、排出事業者、処理業者の双方に大きなメリットがあります。Society5.0の資源循環業界版はこれくらいのものにすべきと思います。IoTを導入し規制緩和すれば、プラスチックをはじめとした資源循環のさらなる推進にも役立つはずです。