インターナルプライシング

2020年04月13日

カーボンプライシングとは、カーボン(二酸化炭素)の排出に対して費用を発生させることで、CO2の排出量を減らす仕組みです。炭素税や排出権取引などが有名です。

これにインターナル(内部)をつけると、インターナルカーボンプライシングになります。環境省が、「インターナルカーボンプライシング活用支援事業参加企業募集」のページで「インターナルカーボンプライシングの概要」という説明資料を公開しています。

ここでは、インターナルカーボンプライシングについて以下のように定義しています。

Internal carbon pricing(インターナルカーボンプライシング、ICP)は、組織が内部的に使用する炭素価格。組織が独自に自社の炭素排出量に価格を付け、何らかの金銭価値を付与することで、企業活動を意図的に低炭素に変化させることができる。

私なりに言い換えると、

「将来、CO2の排出に更なるコストがかかってくるのだから、それを見越して今から事業構造を変革して準備しておこう。」

という目的で、社内で疑似的にコスト負荷をかけて、事業構造の転換を促すという手法です。

プライシングの方法

インターナルプライシングの方法にはいくつかあります。CO2の排出量を把握し、それにプライスをかけて、社内的に共有、リスク認識を高めるという方法や、設備投資などの判断材料としてCO2排出量をコストとして考慮する方法があります。

また、実際に排出量に応じて資金を徴収(当該事業部の収益に反映)し、それを原資にして低炭素投資に回すという取り組みもあります。実際に課金するのですから、コストに反映し、競争上の足かせになりかねませんが、その分効果は高いでしょう。価格設定が難しいところですが、そこには会社の危機意識、戦略が反映することになります。

資源価格にプライシングして、リサイクルを推進

将来のコスト上昇が想定できるものといえば、資源(リソース)価格もあります。では、資源の使用に対しインターナルリソースプライシングをするとどうなるでしょうか。例えば、天然資源・バージン材を購入する場合に、インターナルプライスを上乗せし、リサイクル材を購入する場合には上乗せしないことになります。

つまり、資材調達時には

バージン材価格+インターナルプライス

   vs

リサイクル材価格

というコスト比較になり、リサイクル材の利用が活発化することが期待されます。技術開発や取引先の開拓にもつながりますので、本当に資源価格が高騰した時には余裕を持って対応ができますし、ビジネスチャンスにつながるかもしれません。ここもやはり、プライシングの設定が難しいところですが。

一方、排出者目線で考えると、単純焼却・埋立を委託する場合に、インターナルプライシングをすることで、リサイクルの委託を促すことが出来ます。各地の地方条例により埋立処分に課している産廃税は1000円/tが標準です。資金が外部流出するわけではありませんから、1000円/tは最低ラインとして、5000円/tくらいまでは検討の範囲にはいるのではないでしょうか。

もちろんこれまでもプライシングなどせずに、リサイクル、ゼロエミッションを優先するという方針だった会社も多いでしょう。そこを一歩進めて、社内的であってもコストに反映させる、マテリアル、サーマルなどリサイクル方法によって差をつけることで、さらに取り組みが進むかもしれません。

リサイクル推進、高度化の一つの方法論として、検討してみてください。


担当:シニアコンサルタント 堀口昌澄