なぜ、循環型社会ではなく、サーキュラーエコノミー、なのか?

2020年06月23日

我が国は2000年に循環型社会形成推進基本法という法律を作り、基本計画はもう第四次まで策定、毎年点検をするなど着実に仕事をしてきました。ところがいまや「循環型社会」という言葉はメディアではほとんど取り上げられず、代わってサーキュラーエコノミー(循環経済)という言葉がもてはやされています。あたかも独自の概念、ビジネスモデルであるかのように紹介されていますが、実はそうでもありません。

一体、何が違うのでしょうか?

理由として考えられるのは、結局のところ

  • その1:カタカナでかっこいいから
  • その2:ヨーロッパからの輸入だから
  • その3:本気度が違うから

ではないでしょうか。

その1

"かっこいい"というのは、メディアで取り上げてもらうためには必要な要素です。例えばクールチョイス、プラスチックスマートなど、おそらくは広告代理店が噛んでいる場合はネーミングに力を入れて(基本カタカナにして)知名度を上げようと工夫しています。それ以外の用語は環境省職員が、意味は分かるが覚えにくい〇字熟語を製造してしまっているような感じです(例:地域循環共生圏、環境技術実証事業)。

前例にのっとりたい、楽をしたい、という気持ちは分かりますが、普及させたいのであれば、もう少し積極的に多少はスベるリスクを負ってでもネーミングを工夫して欲しいです(例:さんぱいくん)。各種委員会の委員先生も、その辺りに言及していただくとよいかもしれません。。。

その2

ヨーロッパ(EU)からの輸入ということだけで、環境の世界では注目されます。仕組みや基準作りという意味では、世界をリードしていますし、多くの先進的な取組が行われています。上手に情報発信もしていますので、当然でしょう。アメリカ発では、ここまで注目されないはずです。

その3

業界関係者が注目しているのは、中身、本気度だ思います。目指している所や、循環型に移行するための個々の方法論は特に真新しいものではありません。取りざたされているシェアリング、サブスクリプション、サービサイジンクも、最近の概念ですがサーキュラーエコノミーの専売特許でもありません。それに、EUの資源循環が実態としてそれほど進んでいるとは思えません。

違うのは、日本の政策(循環型社会)が、

  • 環境省(と経済産業省)のリサイクル推進担当部署が目標を作り、担当部署の力量の範囲内で政策立案、遂行をしている

のに対し、EUの政策(サーキュラーエコノミー)が

  • EUの経済政策のひとつとして、取るべき政策を、大胆に、包括的に採用しようとしている

というところでしょうか。EUの政策決定過程をつまびらかに知っているわけではありませんが、出てきた政策を見るとそうとしか思えません。日本の官僚組織の「縦割り&調整型」の逆を向いています。

日本の政策は、目標値を定める、報告させる、補助金を出す、教育・啓発活動をする、でほとんど終わっています。ヴィジョンだけを描いて、自主的取り組みに任せるという名のもと、大きな問題が起こるまでは基本的に受け身です。

一方のEUは、数値目標を定め、それをターゲットに、発生抑制~リサイクル~廃棄までの廃棄物処理の各段階の法制度の合理化、リサイクルの規格化、製品へのリサイクル材使用の義務化、各種の課税・減税、労働市場政策の問題、など各国で、あらゆる側面から様々な手法が取られています。まさに、政策パッケージというべきでしょう。

もちろん、EUにも問題があり、思惑通りに事が運ぶとは限りません。しかし、循環型社会を作るとは、経済や社会をどうすべきかという問題なのです。本来は経済産業省か内閣府が主管し、環境省は補佐、後見人となるべきだとすら思います。それくらいのことをしないと、循環型社会は政府の中でいつまでも日の当たらないテーマに留まり続け、環境問題が主流化しつつある国際社会において、日本の地位の沈下はさらに進んでいくのではないかと危惧しています。

サーキュラーエコノミーを羨み、もてはやす関係者の心情の奥底には、この「その3」のような歯がゆい思いがあるのだと思います。