マニフェスト②交付方法 その2

2020年04月15日

前回に引き続き、マニフェストの交付方法についてです。ほとんどの会社で多かれ少なかれ関係する、テナント廃棄物のマニフェストと、よくある一括交付の是非について考えます。


ビル管理会社によるマニフェスト交付

前回もご紹介した環境省の通知「産業廃棄物管理票制度の運用について」の「2.管理票の交付  (1) 交付手続 ②」  で、

ビル管理会社などは、テナントである、、、

、、、(排出)事業者の依頼を受けて、当該集荷場所の提供者が自らの名義において管理票の交付等の事務を行っても差し支えないこと。 

と記載されています。

この通知の「自らの名義において」について、以前は「排出事業者として」テナントの廃棄物をまとめてマニフェストを交付してよい、という解釈が主流でした。ところが、「自らの名義において」とは「交付担当者として」のことであり、排出事業者欄にはテナントの名称をすべて書くか、書ききれなければマニフェストを複数枚にするか、別紙に名称を記載・添付すべきと指導されるケースが出てきました。「交付担当者として」 とは、マニフェストの右上の担当者個人名を記載する欄を指している、とのことです。

とはいえ現状でも、以前からの解釈に沿ってビル管理会社が排出事業者として運用されていることが圧倒的に多いようですし、この方法が問題として表面化したこともありません。一部の管理体制が整っている大規模なビルでは、この指導に従うだけでなく、テナントごとに保管場所まで分けているところもあるようですが。

それにしても、名義と言うからには、その書類の責任者であり、法律行為や権利義務の主体、つまり排出事業者を指しているのであり、単なる現場の交付事務の担当者を指していないことは明らかではないでしょうか。

しかしそうだとすると、複数の排出事業者の法的立場を、便宜的にとはいえ第三者がまとめて引き受けるのですから、この通知の法的根拠が怪しいのは分かります。他の制度との整合性も取りにくくなっているのでしょうか。だからといって無理に通知の解釈を曲げるのではなく、ここは改めて現場の実情を踏まえた柔軟で合理的な制度設計、法改正を考えるべきでしょう。

一括交付はダメなのか

A.少量の廃棄物を複数の事業場から小口回収して運搬する

B.ある事業場の廃棄物を毎日回収する

C.複数の種類の産廃を混載して運搬する

D.大量の廃棄物を複数台の車両で一気に運搬する

場合に、数量を合算して、マニフェストの交付を1回で済ませることはできるのでしょうか。

このあたりの疑問についても、「産業廃棄物管理票制度の運用について」の「2.管理票の交付  (1) 交付手続 ①」 で詳しく説明されていますのでご覧ください。AとBとCはだめで、DはOKということになります。

以下、通知を補足/解説します。

C.の複数の産廃の合積みについて。マニフェストは「産業廃棄物の種類ごとに交付」しなければならないのですが、シュレッダーダストのように(プラ、金属、ガラス等が)一体不可分で混合している場合は1つの種類でよいことになっています。類似の例としては、分別されずにコンテナに投入された建設混合廃棄物、電気製品やオフィス家具などのプラ+金属他の複合品、日用品等の製品廃棄物(プラ容器+廃アルカリor汚泥等)などが考えられます。ただし、種類ごとに分別されている、例えばフレコンやパレットなどの容器に分別されている場合は、別の種類の廃棄物と考え、マニフェストも分けなければなりません。

グレーゾーンで判断に迷うからといって、混合状況が変動するからといって、その都度行政に確認することはありません。される方も困るでしょうし、責任ある立場からは厳しめの指導に傾きがちです。それより、一般の方が見て混合していると思うか、分別されているように見えるかなど、第三者的な視点で検討するとよいでしょう。 それでも相談される場合は、個別の具体的判断を求めるのではなく、判断材料や考え方についてこちらから意見を提示し、すり合わせる、程度が良いと思います。

D.については、通常マニフェストは車両単位で運用されていますので、ほとんど行われておりません。もしする場合は、運搬基準でマニフェストの携行が求められていますので、車両ごとにマニフェスト(電子の場合は「受渡確認票」)のコピーを持っておくなどの対応をしたほうが良いでしょう。

類似のケースで、近距離を1台でピストン輸送する場合はどうでしょうか?これは正直判断に迷いますが、マニフェストは引き渡しの都度交付されるべきものですので、他社、事業場外への輸送と言える場合は、都度交付すべきでしょう。

「電子マニフェストにしたらどう?」って、どうよ

最後に余談です。紙マニフェストの煩雑さを解消するために、電子マニフェストにしたらどう?という提案がよくあります。本社の環境管理部門も、コンサルタントも、行政も同じことを言うかもしれません。紙を現場で手渡しする必要がないですし、データなので管理が簡単でしょ、ということで、悪くない解決策です。

しかし、電子マニフェストであれば現場にいなくても構わない、というのであれば、おかしな話です。実は前回記事の「立ち会い」の項であった「廃棄物がマニフェストと相違がないこと」という規定は、紙マニフェストだけでなく電子マニフェストにもあるのです。電子だからと言って理由のない優遇はされるべきではないのです。

しかし、電子マニフェストの場合は引き渡し後3日以内に(しかも休日はカウントしない)本登録すればよいという、あまりに緩いルールです。普及促進のためとはいえ、ここまで規制を緩めたのでは紙マニフェストとのバランス上説明が付きません。むしろ電子システムならではの特徴を生かして、利便性を高めて、普及を図るべきではないでしょうか。


担当:シニアコンサルタント 堀口昌澄