リチウムイオン電池による火災防止にRFIDタグを

2019年09月19日

こちらの記事でもご紹介した通り、日本各地で廃棄物やスクラップ置き場での火災が頻発しています。廃棄物・リサイクルに関係する仕事をされていない一般の方でも、ニュースで取り上げられることが多いので認知度は高いのではないでしょうか。

しかし、火災の原因となるリチウムイオン電池(lithium-ion battery、LIBと略されることもあります)が何に入っているかを意識して、分別、廃棄する方はそう多くはないことでしょう。例えば、最近急速に普及した加熱式たばこにも使われています。

用途が広いリチウムイオン電池

リチウムイオン電池は幅広い用途で使用されています。下記の電池工業会の資料では「携帯電話、ノートパソコン、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ガスメーター、水道メーター、ビデオデッキ、炊飯器などのメモリー機能・時計機能のバックアップ、車のキーレスエントリー、電子手帳、ポケット式のライト」が挙げられており、モバイル機器になくてはならない最先端の電池と説明されています。IoTの進展により、今後より一層用途が広がっていくことでしょう。

  • 電池工業会:様々な電池の特徴と用途についてまとまっています

リチウムイオン電池の分別が重要であることは以前より認識されており、環境省から8月1日に「リチウムイオン電池の適正処理について」という事務連絡が各自治体に対して出されています。ここでも、「リチウムイオン電池が、携帯電話、スマートフォン、デジタルカメラ、モバイルバッテリー、加熱式たばこ、コードレスタイプの掃除機など多くの小型家庭用電気機器に使用されている」ため、住民に排出方法の周知をする旨依頼されています。

事前選別の促進 

一方、ほぼ同時期の8月9日に、小型家電リサイクル制度について環境省と経産省の合同委員会が開催されました。そこで小型家電リサイクルの業界団体よりリチウムイオン電池の事前選別の徹底等についての要望が出されました。

この要望書では、

「排出事業者や処分事業者が安全に的確に分別・除去できるように「取り外しマニュアル」などを作成し、今一度周知して頂き、ヤード火災事故の防止にご協力」

「LIB が内装され取り出しが困難な製品情報を収集・整理し提供させて頂きますので、両省におかれましては自治体に対し、発火のおそれのある製品の分別保管の徹底を改めて通知」

メーカーに対しても「内装電池等の危険物が取り外しやすい、基板などの資源が回収しやすいエコデザインやエコ設計の推奨、取出方法等のマニュアルの作成・提供並びに取り外し工具の提供・紹介」

等が要望として挙げられています。

他に考えられる方法としては、電池そのものへの表示だけでなく、リチウムイオン電池を使用した製品であることを、製品そのものに表示することも可能だと思います。含有マークと同様の仕組みです。製品によっては「廃棄方法」としてQRコードを印刷しておき、電池の取り外し方法を動画で確認してもらうこともできるはずです。

委託基準に影響?

さらに、海洋プラスチック問題のように、何かのきっかけで社会的な大問題となるかもしれません。廃棄物処理法が改正され、例えば石綿や水銀のように別区分が出来て、契約書やマニフェストの記載事項に「電池類含有産業廃棄物」が追加されるかもしれません。

同様に、家庭でも缶、ビン、PETなどと同様に、分別することが常識になってもおかしくありません。


受入時の対応

とはいえ、人間がすることですから、事前選別を100%徹底することはできません。処理業者の自動選別工程まで無事にたどり着くことが出来れば、強力な磁選機で取り除くことが出来るものもあるでしょう。しかし、その前段階で発火することもあります。現時点ではこれを防ぐために 、受入の段階で目視チェックの徹底をするというソフト面=人海戦術での対策しかないようです。

  • ハード対策:技術革新とRFIDタグ

リチウムイオン電池が破損・変形して発火するのは、内部の電解質が液体で反応しやすいためであり、電解質を固体にできればかなり改善すると考えられています。しかし、まだ技術開発途中ですし、すべてのリチウムイオン電池が置き換わるのは相当先の話です。

それより、リチウムイオン電池や、それを利用している製品にRFIDタグをつけると効果的かもしれません。離れていても、障害物があっても電波が届く範囲であれば情報を読み取ることが出来ますので、分別されていない雑多な廃棄物に隠れていても、強力なスキャナを使えば検出できます。どれほど実効性があるかは検証が必要ですが、火災防止のためには多少のコストアップを受入れてでも法制化を検討すべきではないでしょうか。

ESG・SDGs花盛りの時代です。この経産省の発表によると、RFIDの単価は1円レベルまで下がるそうですし、資源循環もサプライチェーンの一環と考えれば、無理な話ではないと思います。