プラスチック素材の代替はどうなる

2019年07月23日

海洋プラスチックの問題は、プラスチック業界、環境ビジネス、環境意識の高い人々の間ではかなり前から難問として意識されていました。それが亀の鼻にストローが刺さった動画がきっかけになり、一気に世界的に規制の流れが出来ました。それまでにも多くの写真が公表されていたのですが、あの動画を見ながら“もし自分の鼻の奥で同じこと起こったら”と疑似体験しやすかったことで、人々の感情に訴えたのかもしれません。Youtubeがなければ、今回の海洋プラスチック問題はなかったはずです。。。

なぜ企業は動いたのか?

痛々しいだけで実際に企業が動くとは限りません。うがった見方をすると、環境にやさしい企業であることをPRするうえで、プラスチックストローの切り替えはCMを流すより費用対効果が高いと判断したのでしょう。カフェでドリンクを楽しむには、味だけでなく雰囲気も大切です。口にくわえて、そこから体内に取り込む通り道になるのですから、それがおしゃれで、地球にも優しいのです。時代の最先端を行っているというプラスアルファの満足感にも浸れることでしょう。その意味で、後追いする企業にとっては、追加費用は同じでもPR効果は低くなってしまいます。

加えて、ストローを供給する企業としては、得意先の方針転換になすすべもなかったはずです。もし、プラスチック製品全般の使用規制を各国政府が進めようとしたのであれば、今のような動きはなかったことでしょう。結局、世界を変える力があるのは、政府ではなく企業、それと企業を動かす力を持つ消費者なのかもしれません。

ところが、既に問題はストローにとどまらない、大きなうねりとなり始めています。マイクロプラスチックは、ヘルシーなはずの魚に含まれていて、誰もがマイクロプラスチックを体内に取り入れていたのです。知らないうちに体の内側に不気味なものが入ってきているという感覚が、プラスチックという素材の利用そのものへの不安につながったのではないでしょうか。プラスチック片が混入したビーフカツの不正転売事件は、ほとんどの人にとって他人事ですが、海洋プラスチック問題は、ほぼ全人類にとって自分事なのです。

素材の選定基準が変わる

海洋プラ問題への対応としては、①ポイ捨てをしないこと、②海で分解する素材を使うこと、の2点に絞られるはずです。これを、素材の環境配慮という視点でとらえるともう少し広く、③再生可能(=将来枯渇する鉱物資源ではない)、④リサイクルしやすい、⑤長寿命=耐久性がある、⑥生産時のエネルギー使用量が低い、などが考えられます。どこまで広がるか分かりませんが、エコ素材という文脈では同列で扱われるかもしれません。

これまでは、「安い」「高機能」「扱いやすい」といった視点で素材が選ばれてきましたが、選定基準の追加を本気で検討すべきタイミングです。既に実施してきたという会社の中からは、さらに高度化させるところも出てくるでしょう。

プラスチックだけではない

今後は、素材の使い方、選び方についての世間の目が厳しくなる可能性があります。

家電製品、家具、調理器具、衣服、自動車、建材、食品、などに使われるプラスチックとそれ以外の素材についても、いつ何が起こるか分かりません。海洋プラ問題にとって亀の動画は、いわゆるバタフライ効果で言うところの、嵐にとっての蝶の羽ばたきのようなものです。きっかけや時期を予測できるものではありませんが、いつか必ず環境負荷の高い素材への圧力が強まるはずです。

環境負荷で考慮すべきはCO2だけではありません。皆さんの事業にとって、素材の生産や使用がどのような環境負荷をもたらしているのか、代替品はないのかなど、今回の騒動を他山の石として、改めて考えてもよいのではないでしょうか。