今後の廃プラスチック資源循環について その1

2020年07月10日

ここ数年、中国の廃プラ等の廃棄物の輸入禁止措置を受け、日本国内の産業廃棄物の処理が逼迫していました。そのため、処理業者による値上げ要求や受入れ制限に困っていた排出事業者も少なからずあったようです。しかし、コロナ禍による経済活動の低下により、廃棄物の発生量が減少し、逆に廃棄物の奪い合いの様相も呈し始めています。

また、コロナ禍の間接影響として、インバウンドの観光客の減少によるホテル需要の停滞、テレワークの増加によるオフィス需要にも陰りが出ていますので、建設需要も先行きが見通せません。この流れは、コロナ禍後もある程度継続する可能性があります。

4月7日に発令された緊急事態宣言が5月25日に解除され、徐々に経済活動が回復してきましたが、7月上旬には事実上の第二波に見舞われるなど、以前の状態に戻るにはまだ時間がかかるでしょう。 廃棄物市場を十把一絡げにはできませんが、可燃物というくくりで見れば、しばらくの間は発生量は抑えられ、以前のように苦労することはないと思われます。

コロナ前はどうだったのか?

しかし、100%元に戻らなかったとしても、いつかは4月以前の状況に戻ると想定すべきでしょう。では、2月~3月末までの市場動向はどうだったのでしょうか。実は、6月に国と東京都からそれぞれ報告書が出されています。

東京都の報告書は、直接ヒアリングを行っているのが特徴です。一方、環境省の報告書は、多くの関係者に広くアンケートを行っています。いずれも「埋立、焼却が逼迫して値上げされている」「リサイクル業者は受入制限している」「ペースは鈍化しているものの、保管量の増加傾向は続いている」という内容です。さらに、「2020年度も値上げの可能性あり」というコメントもあります。興味深いので、できたら一度お目通しください。

いつかはこれに近い状況に戻るはずです。それを見越してか、コロナ禍の現在でも廃プラ処理の技術開発や補助事業、処理施設の建設計画があります。そのため、排出量が元に戻ったときには、業界全体の処理能力は上がっているかもしれませんので、状況はコロナ前よりマシかもしれません。

しかし、まだ値上げの可能性があったということですから、安心できるとは言い切れません。今のうちに、その時に備えて準備できることはないのでしょうか?

今後の課題

上記のそれぞれの報告書で、今後どうしていくべきか、まとめられています。行政や処理業界だけでなく排出事業者として求められていることもあります。以下に抜粋し、排出事業者やメーカー等に求められている部分を赤字にしますので、ご参考ください。

  • 環境省の報告書では、(政府としての?)今後の対応として、

〇バーゼル条約附属書改正等を受けた外国政府の動向や、新型コロナウイルス感染症に伴う国内の経済活動、廃棄物処理の状況等も踏まえながら、今後も必要に応じて、廃プラスチック類の処理のひっ迫状況や不法投棄等に関する実態把握及び自治体を含めた情報共有を進めていく。

〇加えて、以下の対策を進めているところ。 

  1. 令和元年5月31日に策定したプラスチック資源循環戦略」に基づき、プラスチックの資源循環を促進。
  2. 廃プラスチック類のリサイクル施設等の処理施設の整備を速やかに進め、国内資源循環体制を構築。
  3. 事前協議制等の域外からの産業廃棄物の搬入規制を行っている自治体に対し、搬入規制の廃止、緩和又は手続の合理化、迅速化を促す。 
  4. 排出事業者に対し、適正な対価の支払いを含めた適正処理の推進について周知するとともに、自治体に対して不法投棄の監視等の徹底、排出事業者への指導の強化を依頼。 
  5. 緊急避難措置として、市町村に対し、ごみ処理施設等での廃プラスチック類の受入れを積極的に検討するよう依頼。 
  6. 優良認定処分業者の保管量の上限引上げ(処理能力×14日分→28日分)制度 (改正省令を令和元年9月施行)の活用を促し、優良認定業者による処理を推進。  


  • 東京都の資料では、「資源循環体制の確保に向けた検討課題」として、
  1. EPRの強化(製品製造段階での解体・素材回収への配慮)
  2. 排出源での分別の強化(ルールの共通化、排出者の意識向上)
  3. 柔軟な広域処理体制の確保(災害対応含む) 
  4. 中間処理(破砕・選別)施設の効率的な運用、収集運搬の柔軟な運用
  5. 材料リサイクル、ケミカルリサイクルの受入先の拡大(受容できる廃プラの品質の拡大、品質の違いに応じ た受入可能量の拡大)
  6. 再生樹脂の需要創出(グリーン購入、ESG対応等)
  7. 分別・資源回収を最大限実施した上で、衛生面などから焼却せざるを得ない廃プラの受入先の確保
こうしてみると、

・短期的な対応としては、適切な費用負担と分別の徹底

・長期的には、メーカーとしてリサイクルに配慮した設計や、使用済み品の回収、廃プラを素材として活用

して欲しい、ということのようです。

また、ここには書いてありませんが、排出事業者のリスク対策としては、Reduce,Reuseの推進、処理委託先の複数確保、をあげることが出来るでしょう。

結局は、これまでにも言われてきたことの繰り返しではありますが、さらなる取組みが求められているようです。