委託基準③再委託の話

2019年12月03日

一般には再委託の禁止、再委託基準、と言われています。しかし条文を見ると「再委託」という文言が使われていないばかりか、そもそも再委託を禁止しているということが読みとれず、戸惑っている方もいるはずです。

再委託を考える前に
再委託を考える前に

再委託の条文の読み方

再委託の条文を見る前に、上の図をご覧ください。廃棄物処理法では中間処理を行った後の物を「中間処理産業廃棄物」と呼びます。二次廃棄物、中間処理後物、などということもあります。

一方、仮に中間処理業者の施設に入ったとしても、中間処理をせずに保管だけをしていた場合は、「産業廃棄物」のままです。

それともう一つポイントです。再委託とは、受託した業務内容をそのまま、他の人に委託することを言います。したがって、「再委託」は「委託」の形態のひとつです。

では、条文をご覧ください。

法第14条第6項

産業廃棄物収集運搬業者は、産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を、産業廃棄物処分業者は、産業廃棄物の処分を、それぞれ他人に委託してはならない。 

お分かりいただけたでしょうか。まず、再委託どころか、たんなる委託も禁止されています。どういうことでしょうか?

運搬業者は、産業廃棄物の運搬委託と処分委託の両方が禁止されています。運搬の再委託の禁止はもちろんのこと、排出事業者が委託契約を結んでいない処分業者に勝手に持ち込んで(運搬業者の裁量で処理委託して)はいけないということです。これは、排出事業者が“運賃+処分費用”を運搬業者にまとめて払っておいて、どの処分業者に持ち込むかを運搬業者に任せきりにすることを禁止しているのです。

一方の処分業者は、処分の(再)委託が禁止されています。運搬委託については、処分を再委託する際や、自社の拠点間での移動をする際に、他社に運搬委託することを許容しているのでしょう。

先の条文には続きがあります。

法第14条第6項 (つづき)

ただし、事業者から委託を受けた産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を政令で定める基準に従つて委託する場合その他環境省令で定める場合は、この限りでない。 

「ただし」、受託した処理内容について、他の業者に委託する(=再委託する)場合は別途定める基準にしたがえば、この限りではない(してもよい)ということです。

なお、運搬業者や処分業者が、自社発生の産業廃棄物を処理委託することは、排出事業者としての行為ですので問題はないと考えられます。

再委託基準

処理業者が再委託をする場合の基準は3つあり、施行令第6条の12に定められています。(処理業者が行うべき事項です)

1.排出事業者に再委託先の許可内容を説明し、書面承諾を得ること

(記載内容)

  • 委託した産業廃棄物の種類及び数量
  • 受託者の氏名又は名称、住所及び許可番号
  • 承諾の年月日
  • 再受託者の氏名又は名称、住所及び許可番号

2.再委託先に、排出事業者との契約内容を記載した文書を交付すること

3.再委託先と、処理委託契約を締結すること


一方の排出事業者は、書面での承諾に応じた場合は、写しを5年間保存しなければなりません。(施行令第6条の2第6号、施行規則第8条の4の4)

承諾書の様式はありません。上記の記載事項が含まれていればよく、名称も契約書や覚書ではなく「承諾書」ですので扱いに迷われるかもしれません。しかし処理委託契約書の内容変更になりますので、契約書の一部として5年保存が求められています。処理業者は急いでいることが多いはずですので、シャチハタでも構わないと言うかもしれません。権限がある人であればともかく「その程度の軽い管理でよいのか」と考えてしまう可能性がありますので要注意です。

なお、承諾書の写しの保存ですが、趣旨からすると再委託が終了してから5年間は保存すべきでしょう。

CASE STUDY

事例

処理業者Aの施設がトラブルになり、その処理業者Aの他の工場で処理するとともに、他の業者Bにも再委託したいと言ってきました。業者Bに再委託するのは心配なのですが、どうしたらよいでしょうか。

検討


解除も可能

まず、その処理業者Aが委託契約書の通りの業務を行うことができなくなったのであれば、契約を解除することができます。解除すると言うことは、契約される前の状態に戻すことになりますので、既に引き渡した産業廃棄物を排出事業者の管理下に戻すことになります。その場合、当該施設から排出事業場まで運搬(回収)しても、新たに別の処理業者に直接運搬して処理委託しても構いません。

業者Aの他の工場の場合

その業者Aの他の工場で処理できるのであれば、契約書の記載事項で関係する部分を覚書などで変更すればよいでしょう。例えば、「処分の場所、方法、処理能力」や、自治体が違う場合は「許可の事業の範囲の記載」や、許可証の写しも替えなければなりません。これであれば、同じ業者Aへの委託ですから再委託にはなりません。

再委託の承諾をしない選択肢も

他の業者Bが不安であれば、その再委託を承諾しなければよいのです。必要であれば、排出事業者が別の業者Cを探して業者Aの施設から直接運搬、処分委託することもできます。その場合は、再委託ではなく、排出事業者が自ら契約、マニフェストを交付することになります。

その他、再委託は承諾せずに、マニフェストの返却が90日を超えても構わないということで、業者Aの施設が再稼働するのを待つこともできます。超えたら、措置内容等報告書を出せばよいのですから。

再委託の承諾をすることは法律で定められた手続きではありませんので、自社の責任で判断してください。承諾をした場合には、写しを5年間保存する義務があります。

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現地確認/実地確認の実施、または処理状況の確認は、排出事業者の注意義務として委託基準に含まれています(注意義務については、こちらの記事をご参照ください)。記事にもある通り、処理状況は実地に確認する方法を筆頭に、公開情報の確認などが推奨されています。しかし、それで本当に、適正処理される確証が持てるのでしょうか?毎年現地確認しておけばよいというのは、環境省と都道府県職員と排出事業者がお互いに作り出した、何の根拠もない共同幻想かもしれません。