リサイクル方法の標準化/規格化・リサイクル品の規格化の動き

2020年06月23日

リサイクルの定義について疑問を持ったことがある方は少なくないでしょう。極端な例を持ち出すと、含水率90%の「でい状物」を焼却、溶融し、残渣として残ったスラグを路盤材として使用した場合、その「でい状物」は10%リサイクルされたと言うべきなのでしょうか?いやいや、含水率90%ならそもそもリサイクルされたというべきではない?、だとすると、含水率が10%だったら?50%なら???

逆に油分が10%あれば、その分は焼却時に熱回収されたとカウントしてよいのでしょうか??

このようにインプット側からリサイクルの定義を考えると、廃棄物の多様性に対して一律に定義づけをするのが難しいことが分かるでしょう。そのため、リサイクル工程や製品を限定した規格化が進んでいます。

リサイクル品の規格

実は、リサイクル製品がJIS化されていることは少なくありません(JIS規格はこちら)。

例えば、

  • セメント製品
  • 鉄・非鉄製品
  • ガラス製品
  • PET

これらは、もともと天然原料から生産されていた製品ですから、JIS規格があるのは当然です。もちろん、リサイクル原料を使う場合でも、各種の規格内に収めないといけません。

  • パーティクルボード
  • RPF
  • スラグ

副産物を使用して商品化されたものですが、業界団体などの努力によりJIS化が進みました。特にスラグは、用途によって多様なJIS規格があります。

  • 肥料

肥料取締法で、成分などの規格が定められている物があります。肥料関連の資料はこちら

リサイクル工程の規格

  • 個別リサイクル法

家電、自動車、建設、容器包装の各リサイクル法では、事実上具体的なリサイクル方法が定められているといってよいかもしれません。リサイクル率が定められていて、金属のリサイクルはマテリアルリサイクルですし、プラスチックはマテリアルリサイクルか熱回収かは区別されています。

小型家電リサイクル法や廃棄物処理法の広域認定は、個別具体的にリサイクル方法に認定を出しています。担当者によって判断のブレはあるでしょうから規格とは言い難いですが、基本的に前例を踏襲しますので、一定のレベルは担保されていると言ってよいでしょう。

EUのWEEE(Waste Electrical and Electronic Equipment)も、家電リサイクル法の後にできただけあってリサイクル率や方法が定められています。

  • リサイクル方法ごとの規格

個別リサイクル法がなくても、個々の廃棄物のリサイクル方法を規格化すべき、という動きはあります。たとえば、パソコンのリサイクル方法には、極限まで手解体する方法もありますし、ある程度まで解体して破砕機にかける方法、海外で問題となった、基盤を加熱してレアメタルを回収するなど、様々な方法が考えられます。いずれも、国内法に照らせばリサイクルには違いなく、比較・評価する基準はありません。

他にもCFRP(炭素繊維強化プラスチック)、リチウムイオン電池、ソーラーパネル、燃料電池などの新素材に対しては、リサイクル方法がいくつも開発されています。これを、現在の市場価格に任せて競争させるより、素材の回収率を踏まえ近未来の資源枯渇まで想定して望ましい方法を選択すべきでしょう。

これらの新素材のリサイクル方法は、インターネット検索をすれば沢山出てきますが、例えばCFRPについてはこちらのサイトは参考になるでしょう。今後広く自動車にも使われる可能性があり、リサイクル方法の標準化議論は活発です。

  • EUの規格

リサイクル方法の開発ニーズに対して、日本では補助金を出して技術開発を促し、リサイクルのガイドライン化や、(努力?)義務化して普及させるといった方法がよく取られます。結果としてデファクトスタンダードができることもありますが、明文化された規格ではなく、英語版を作って海外向けに発信するわけでもなく、通用するのは国内限定のことが多いようです。

一方、周知のように、EUは規格を策定して、域外の取引先にも要求することで規格の普及を図るのですが、リサイクルについても同様の動きがあります。

このEN Standard Storeのサイトでrecycleでキーワード検索をすると、なんと1000以上の結果が出てきます。処理機のスペックから、PE,PET,PVCなどの再生プラスチック原料の品質、再生プラスチック含有率やトレーサビリティと第三者認証の方法(プラスチック限定の認証機関があります)など、リサイクルに関する規格を多岐にわたって作っています。細かいですが、例えば前述のCFRPについては、破砕後のサイズがISO化されています(こちらを参照)。

このように標準化が進めば、市場として安定した取引が期待できますし、処理施設の設置も規格準拠の施設であれば認めてもらいやすそうです。不要な仕事が減って、資源循環に携わるホワイトカラーの生産性も向上するかもしれません。

正直、EUは相当先を行っていると思います。ここで何も言葉の壁を乗り越えて、EUと覇権を争うこともなく、この標準化の流れを利用し、時には日本からもよいモデルは発信してISO化して、結果としてリサイクル市場が円滑化、活発化すればそれでよいのではないでしょうか。