丁寧に分別するとマニフェストが増加する問題

2020年08月19日

金属・プラスチック・ガラスなどが複合・混合した廃棄物は、排出する段階で解体や分別することが推奨されています。できるだけ上流で分別したほうが効率が良く、コスト削減やリサイクルがしやすくなることが多いためです。

ところが、素材ごとに分別を行うと、それぞれについてマニフェストを交付しなければなりません。廃棄物処理法第八条の二十で下記のように定められているからです。

 管理票の交付は、次により行うものとする。

一 当該産業廃棄物の種類ごとに交付すること。

(以下は省略)

例えばハロウィンのランタンをそのまま廃棄する場合は「ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず+金属くず+廃プラスチック類」の複合物としてマニフェストは1部でよいでしょう。「産業廃棄物管理票制度の運用について」という通知で、「例えばシュレッダーダストのように複数の産業廃棄物が発生段階から一体不可分の状態で混合しているような場合には、これを1つの種類として管理票を交付して差し支えない」としている通りです。

ところが、“電球”と“プラスチック”と“金属部品”を分解・分別すると、「ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず+金属くず」「廃プラスチック類」「金属くず」に種類が分かれ、マニフェストは3部必要になります。

もしこれが充電式で、電池の取外しも要求される場合は、「金属くず+汚泥(+廃酸?)」としてさらにマニフェストが必要です。分別を推奨しているはずなのに、制度的には分別にディスインセンティブが働いているのです。

一方で、まともに分別をしない、分別してもマニフェストはこれまで通り複数チェック、という排出事業者もいます。

これでは、正直な排出事業者が馬鹿を見ることになります。せめて持ち込み先が同じなら、1つのマニフェストに複数チェックを入れることを許容してほしいところです。

具体的な対応策

まず委託している処理業者に、どの程度までの分別を求めているのか確認しましょう。必要とされていない分別までしている可能性もあります。

必要十分な分別方法を確定させたら、それぞれの種類を確認します。別の種類のものがあればマニフェストを分けなければなりません。その際、電子マニフェストを利用すると管理は楽になりますが、1車に電子マニフェストが複数割り振ってあることを伝えておきましょう。

なお、プラスチックをPVC,PP,ABSなどの種類ごとに分けたとしても、廃棄物処理法上は「廃プラスチック類」でしかありませんので、マニフェストを分ける必要はありません。 廃油などの液状廃棄物も、内容によって処理費が違うことがありますが、マニフェストは「廃油」1部で構いません。

一体不可分に混合しているのか、分別されているのか、どちらともいえないグレーゾーン状態も存在します。明確な判断基準はありませんがおろすときに別のものとして分けて計量している場合は分別されている、一体で計量している場合は一体不可分とみてよいのではないでしょうか(一体品と個別品の単価が違う場合だけに使える考え方ですが)。その他、第三者、それも業界の事情を知らない一般人が見てどう思うか、管轄行政の職員に堂々と説明できるか、という視点で判断すると安全だと思います。


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