マニフェスト⑤措置内容等報告書を出さなかったら?

2020年07月26日

(電子)マニフェストが期限内に戻ってこない、記載内容に不備がある、虚偽記載がある、処理が出来ない旨の通知を受けた、などの場合、排出事業者は処理状況を把握し、必要な措置を講じて、その内容を自治体に報告しなければなりません。(法第12条の3第8項、施行規則第8条の29参照)この報告で使用する様式第4号及び第5号を「措置内容等報告書」と言います。

この報告書については、「じゅんかん用語の基礎知識」で解説していますので、こちらをご覧ください。

ここでは、「措置内容等報告書」を提出しないとどうなるのか、について解説していきます。

措置内容等報告書を提出するということは、その前提として、措置を講じていなければなりません(又は、環境上の支障がないので講じる必要がない状態にある)。例えば、不法投棄されていたら既に撤去済み(少なくとも着手済み?)という状態です。しかし、上図のとおり30日以内が期限ですから、そう簡単ではありません。

措置内容等報告書を出さないと、どうなる?

30日以内に措置内容等報告書を出さないと、法律違反ですが、罰則は設定されていません。その代わり行政は「措置命令」という行政処分を出すことが出来ます。(廃棄物処理法第19条の5参照)

いずれにせよ、処理業者が環境汚染を起こしたら、排出事業者は措置を講ずるしかないのです。

  • 法第19条の5 抜粋

生活環境の保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認められるときは、都道府県知事は、必要な限度において、次に掲げる者に対し、期限を定めて、その支障の除去等の措置を講ずべきことを命ずることができる

(中略)

ヘ 第十二条の三第八項の規定に違反して、適切な措置を講じなかつた者 

措置命令に従わないと??

もし措置命令を受けてもそれに従わない場合は、5年以下の懲役1000万円以下の罰金の対象となります(法第25条第5号参照)。

「30日以内に報告書を提出」は短いと思われるかもしれません。しかも、撤去するのであれば、現地で自社の物が特定できるのか、重機は使うことが出来るのか、他の排出事業者との調整はどうするのか、という諸々の問題が表面化します。特に、関係する排出事業者が他にたくさんいる場合は大変です。

対処方法としては、事前に処理業者の管轄行政の担当課にコンタクトを取っておくことです。既に関係者間の調整をしているかもしれませんし、実際の“必要な措置”は行政が一括で行う予定かもしれません。その場合、“必要な措置”を講じる代わりに、撤去にかかる費用負担を求められるかもしれません。いずれにせよ、必要な措置を講ずる意思を示しておきます。

そうこうしているうちに30日経過しそうになったら、報告書をどうすべきか確認します。途中経過でよいor撤去が終わってからでよい、などの回答が得られるでしょう。措置命令(行政処分)を出すのは行政なのですから、現地の管轄行政とコミュニケーションが取れていれば大丈夫です。

最善の策は

最善の策は、未然防止策です。つまり措置命令の要件である「生活環境の保全上支障が生じ」(上記条文参照)させることがないような、信頼できる処理業者であることを確かめて処理委託することです。しかし、これは簡単なことではなく、やり始めるとキリがありませんので、時間とコストvsリスクを考慮しなければなりません。バランス感覚をもって、上記の次善の策も念頭にリスクマネジメントをしましょう。


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現地確認/実地確認の実施、または処理状況の確認は、排出事業者の注意義務として委託基準に含まれています(注意義務については、こちらの記事をご参照ください)。記事にもある通り、処理状況は実地に確認する方法を筆頭に、公開情報の確認などが推奨されています。しかし、それで本当に、適正処理される確証が持てるのでしょうか?毎年現地確認しておけばよいというのは、環境省と都道府県職員と排出事業者がお互いに作り出した、何の根拠もない共同幻想かもしれません。