委託基準①許可業者への委託

2019年10月04日

産業廃棄物の処理を他社に委託する場合には、産業廃棄物処理委託基準を順守しなければなりません。基準というと、量や濃度についての数値基準のように聞こえますが、実は「書類の管理・確認」についてのルールです。委託基準には大きく分けて「許可業者へ委託」と「契約書の作成、保管」がありますが、今回は許可業者への委託について解説します。

「許可業者」というと、①産業廃棄物、②特別管理産業廃棄物、③一般廃棄物についてそれぞれ(1)収集運搬業、(2)処分業の許可(3×2=6種類)が存在します。下記の表をご覧ください。(以降、許可業者ではなく処理業者と言います)

表の黄色部分が産業廃棄物で、青部分が一般廃棄物です。産業廃棄物、一般廃棄物の区分については、こちらの解説記事をご覧ください。

(1)収集運搬業は、積替保管「なし」と「あり」に分かれています。積替え保管とは、運搬途中に廃棄物を一度おろして保管し、処分行為をせずに再び運搬する行為を指します。 したがって「なし」は純粋に運搬だけについての許可です。

(2)処分業は「物理的、化学的、生物学的」な変化を起こす事業と、埋立、海洋投入事業をする場合に必要です。 

表の「許可が必要な自治体」欄にある通り、産業廃棄物処理業は都道府県、一般廃棄物処理業は市町村の許可が必要です。ただし、産業廃棄物収集運搬業の積替え保管「あり」の場合と、処分業については、いずれも廃棄物を保管、処分する場所があります。その場所が政令市内(政令指定都市+中核市)である場合は政令市の許可が必要です。(例:政令市であるさいたま市内で産業廃棄物の積替え保管or処分をする場合はさいたま市の許可、熊谷市内の場合は埼玉県の許可が必要となります。)

また、運搬については積み込む場所と卸す場所の両方の都道府県・市町村の許可が必要となります。(例:産業廃棄物を横浜市からさいたま市に運搬する場合は神奈川県と埼玉県の許可、一般廃棄物を運搬する場合は横浜市とさいたま市の許可が必要)

したがって、全国的に産業廃棄物の収集運搬をする場合は全国の都道府県の、一般廃棄物の場合は全国の市町村の許可が必要になり非常に煩雑です。 このことは、全国的に廃棄物の収集サービスを行う会社が存在しない理由の一つでもあります。

そして、冒頭に書いた通り、排出事業者は廃棄物の処理委託をする場合、以上のような必要な許可を持つ処理業者・許可業者に委託しなければなりません。(特例制度や一般廃棄物は市町村が処理できるという例外はあります)

こんな場合に注意

更新忘れ:産業廃棄物処理業の許可は5年(優良認定を受けている場合は7年)、一般廃棄物処理業の許可は2年で期限が切れますので、切れる前に更新手続きをしなければなりません。

期限が切れてから更新手続きをしても、失効してしまっているので新規許可扱いになります。行政の受理印がある申請書類などで、期限前に更新申請がされていることを確認してください。期限が切れる前に更新申請をしていれば、期限切れ後も許可は有効です。更新申請が通ったら、改めて新しい許可証の写しを入手してください。

グループ会社が回収:親会社と子会社の名称が似ている場合や、頭文字の略称になっている場合がありますが、あくまで別会社ですので、別途許可が必要です。許可証と会社名が違う場合は、単なる通称・略称なのか、別法人なのかを確かめてください。

別会社が回収:回収を依頼したはずの収集運搬業者とは別の収集運搬会社が回収に来ていることがあります。上記のようにグループ会社の場合だけでなく、下請け、再委託先を回収に行かせているケースもあります。車両の両側面への表示やマニフェストには収集運搬業者の名称がありますので、契約がある・回収依頼をした会社名かを確認してください。

CASE STUDY

事例

契約書に添付してある収集運搬業者の許可証のコピーの有効期限が、半年前の3月31日に切れていることに気が付きました。収集運搬業者に確認をしたところ、有効期限が5年後の5月31日の許可証のコピーが送られてきました。行政側で審査に時間がかかり、有効期限後しばらくたって許可が出たということです。

4月、5月中も運搬委託をしていたのですが、問題ないでしょうか。

検討

有効期限が切れる前に更新申請を行っていれば、期限切れ後もそれまでの許可は有効です。審査に時間がかかり、更新許可の年月日が6月1日だったとしても、有効期限は元の許可証の有効期限を基準にしますので、3月31日となるはずです。しかし事例ではこれが5月31日になっています。(※本稿末尾参照)

理由としては①行政が作成した許可証が間違っている、②期限切れ後に申請したため新規許可扱いになっている、の2つが考えられます。

①の場合は行政側のミスですので、事業者側に責任はありません。許可証の再発行をしてもらえば済みます。

②の場合は、有効期限が切れた後で申請したために、新規許可になっています。その場合、4月、5月中は無許可の収集運搬業者に処理委託していたことになりますので、違反となってしまいます。

なお、新規許可と更新許可は、更新履歴の記載有無などにより判別可能です。

対策

排出事業者としては、処理業者の有効期限を自社でも管理し、期限切れ後は受理印がある更新申請書類のコピーを処理業者から入手するか、管轄行政に更新申請が出されているか直接確認します。これをしない限り、期限切れ後も許可が有効かどうかの確証が得られません。口頭で確認しても、実際には申請されておらずトラブルになることもあります。もちろん、十分余裕をもって更新申請がされていれば、有効期限が切れると同時に新しい許可証も入手できます。

改ざんされてしまった場合

許可証の日付が改ざんされると、更新履歴の記載などに無理が生じることもありますが、すべての排出事業者にこれを見抜くように求めるのは酷でしょう。また、高性能のスキャナーや画像処理ソフトを使って加工したものを、コピーやFAXで送られたのでは改ざんの痕跡は分かりません。万全を期すためには、原本を直接確認するか、行政に直接確認するしかありませんが、すべての許可証についてここまで確認するのは現実的ではありません。

しかし、このような改ざんに気付かなかったことで、結果的に無許可業者への委託となっていたとしても、不法投棄に巻き込まれるか重大な過失でもない限りは責任を問われる可能性は低いでしょう。結局は、不法投棄も改ざんもすることがない、信頼がおける処理業者を選定することが何より大切ということでしょう。


(※)有効期限前に更新申請を受け付け、期限切れ後に更新許可を出す場合の有効期限の記載について、以下のいわゆる「許可事務通知」で説明されています。

 法第14条第3項及び第9項の規定により従前の許可がその有効期間の満了後も申請に対する処分がされるまでの間、効力を有するときに、更新の許可を行うときは、許可証の「許可の年月日」は、実際に更新の許可を行う日を記載し、「許可の有効年月日」の欄には、従前の許可有効期限の満了日の翌日から起算して5年以内の日を記載すること。

(許可事務通知:産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業並びに産業廃棄物処理施設の許可事務等の取扱いについて(通知)より