積替保管と処分の違い

2020年10月21日

積替え保管は、運搬途中に廃棄物を積替え、その際に一時的に保管されること。処分とは廃棄物を破砕、再生、焼却、埋立などをすること。こう説明するとかなり明確な違いがありそうですが、実際にはグレーゾーンがあります。

処分の定義

まず、処分の定義から見ていきましょう。法律では、「処分」を明確に定義づけたものはありませんが、過去に通知等で何度か説明されています。最も新しく詳しいと思われる通知をご紹介します。

「処分」とは、廃棄物を物理的、化学的又は生物学的な手段によって形態、外観、内容等について変化させること、生活環境の保全上支障の少ないものにして最終処分すること又は廃棄物にほとんど人工的な変化を加えずに最終処分することをいうこと。

ポイントは、「物理的、化学的、生物学的な手段」で「形態、外観、内容等」を変化させるというところです。これに該当しない行為は処分ではない、ということになります。(ここでいう最終処分は埋立、海洋投入、再生を指すはずですが、ここでは触れずに置きましょう。)

ここからが問題です。以下の作業は処分に該当するでしょうか?

  1. 混合廃棄物からPETボトルを手作業で取り出す
  2. PETボトルのキャップを手で外す
  3. ドライバー(手作業)でネジを抜く
  4. 電卓から電池を外す
  5. 電動ドライバーを使ってOA機器の解体をする
  6. 光学選別機を使ってプラスチックを選別する
  7. 磁選機で廃棄物から鉄を選別する
  8. HDDのデータの磁気消去→磁力による物理的変化?
  9. 容器に残った液体をウエスでふき取る→ウエスは自然に乾燥
  10. 水や洗剤を使って洗浄する→汚れが水に溶ける=化学反応
  11. 複数の一斗缶からドラム缶に廃液を移す→非意図的な化学反応は避けられない
  12. 液体と固体を混合する
  13. 固体から液体を分ける(脱水、固液分離)
  14. 折り曲げる、圧縮する
  15. ハサミやカッターで切る
  16. 接着されていたものをはがす

思ったより沢山の例が思い浮かびました。

上記の定義から考えると、一桁台は処分ではない、二桁台から段々と処分の可能性が高くなるという感覚かもしれません。ただ、実際には手作業は処分ではない、機械を使用したら処分、という判断をされていることもあります。実際、機械によるふるい、比重、光学選別などは処分業の許可も出ています。ベルトコンベヤー脇で手作業で選別する方法でも処分業の許可が出ているそうです。

結局は、抽象的な基準を現実にどのように当てはめて考えるか、という解釈論ですので、人によって判断は異なりますし、ケースバイケースとなります。

では、問題です。

Q:処分に該当しない行為を、運搬業者が自社の拠点へ持ち帰って実施する場合は何に該当するでしょうか。

A:基本的には、積み替え保管とみなされます。

「処分は行っていないが、積替え保管には該当する」ということです。収集運搬業に含まれますので、処分業の許可があっても収集運搬業の許可が必要になります。

積替え保管の定義

積替え保管について明確な説明や定義がされている資料は見当たりません。そこで、施行令第3条から関係部分を抜粋、改変引用します。

第三条 

一 廃棄物の収集又は運搬に当たつては、次によること。

~中略~

ヘ 廃棄物の積替えを行う場合には、次によること。

~中略~

チ 廃棄物の保管は、廃棄物の積替えを行う場合を除き、行つてはならないこと。

つまり、収集運搬にあたって積み替えを行う場合の方法が定められていて、保管は積み替え保管の場合以外には行ってはならないということです。どのような行為が積み替えや保管に該当するのかの説明はありません。そこまでは説明不要ということなのでしょう。

結論

運搬後に廃棄物をおろし、処分行為を行うことなく、改めて別の場所に運搬された場合、処分には該当しなくても、積み替え、保管行為には該当します。

したがって、例えば中間処理業者が分別をしただけで最終処分業者に持ち込むと、収集運搬業の一環で積み替え保管をしたとみなされます。その中間処理業者は、処分業の許可に変更をするのではなく、別途収集運搬業を取得しなければなりません。

今後の課題

中間処理だとマニフェストは1次マニフェストとして一度終了しますし、最終処分先は都度柔軟に変更ができて、2次マニフェストを改めて出せば済みます。

一方、選別や分別を積替え保管とみなすと、1次マニフェストはその業者を経由して最終処分先まで行きます。選別後に最終処分先が分かれる場合は、排出事業者はそれを見越して、マニフェストを最終処分先ごとに分けて複数交付しなければなりません。もちろん、数量も記載して。つまり、排出段階でどう選別されて、どれくらいの量がどの最終処分先に行くかを決定しておかなければならないのです。当然ですが、排出事業者は最終処分業者と直接契約が必要です。このように、単純な積替え保管とは状況が異なり、高度な選別を積み替え保管とみなすのは現実的ではありません。

合理的な制度を目指すのであれば、処分業の許可がある業者であれば、積み替え保管を処分業の一環としてよいとすべきです。小型家電リサイクル法も、積み替え保管、選別、処分の区別なく「拠点」という考え方で運用されています。実務上の問題はほとんどないはずです。政省令の改正か、通知のみで対応できると思いますので、是非検討してほしいところです。

なお、中間処理を行う前提で受託した廃棄物の一部を分別した場合は、積替え保管ではなく中間処理を行ったものとみなしてよいという疑義照会もありますが、これはまた別の機会でご紹介しましょう。

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