保管基準のポイント

2019年09月06日

産業廃棄物の保管基準は、厳密にいうと①排出事業場での保管(法第12条第2項・施行規則第8条)、②積替え保管時の保管(施行令第6条第1号ホ、ヘ)、③処分業者での保管(施行令第6条第2号ロ)、についてそれぞれ規定されているのですが、基本的には共通ですので、基本的には区別をせずに解説をします。

また、保管基準には、曖昧な部分もあるので実務上迷われることも多いでしょう。法の趣旨を踏まえて、現実的な対応方法も考えていきます。 

保管場所の掲示板例
保管場所の掲示板例

囲いの設置

<囲いの定義>

保管場所の周囲には囲いを設けなければなりません。産業廃棄物の荷重が囲いにかかる場合は、構造耐力上安全であることも求められています。

逆に言うと、荷重がかからないのであれば、どのような囲いであってもよいのですが、囲いの具体的な形状、強度などについて定義がありません。コンクリートの壁、金網フェンス、ネット、ポールなどを立ててチェーンやロープを張るなどの方法が考えられます。その他、トラックに直接載せるタイプのコンテナ、ドラム缶やフレキシブルコンテナなどを使用する場合は、地面に白線を描いたりロープを張るだけでも十分そうです。

法律では明記されていませんが、囲いを設ける目的は

  • 保管場所の範囲を明確にする
  • 廃棄物の飛散や汚水の流出を防ぐ

の2点ではないでしょうか。保管場所の範囲を明確にすることは、整理整頓の基本です。また、保管基準の他の条項で「飛散」「流出」「地下浸透」しないようにすべき旨の記載があります。

この目的を踏まえると、囲いの形状や強度は、保管する廃棄物が飛散しそうな性状や荷姿か、汚水などが浸出する恐れがあるかを踏まえて検討することになるでしょう。

掲示板の設置

産業廃棄物の保管場所には、上記の図のような掲示板が設けられていなければなりません。見やすい場所に設ける必要があり、縦横60㎝以上と決まっています。文字の大きさは決まっていませんが、遠くからでも見やすい大きさとなるように配慮すべきでしょう。

連絡先の記載事項として「氏名又は名称」とありますが、個人事業主の場合は氏名になりますが、会社の場合は担当者の個人名を入れる必要はありません。会社名と担当部署名まで記載するとよいでしょう。連絡先についても、住所や内線番号ではなく外線の電話番号を記載し、その場で誰もがすぐに連絡が取れるようにしておきましょう。

「保管高さ」と「数量」については、以下に説明する規定があり、それを踏まえて記載することになります。条文上は、計算して出される法定の数値を記載する義務があるのですが、それより少ない数値を記載していたり、記載義務がないのに記載していることもあります。しかし、「飛散、流出、地下浸透等を防ぐ」という保管基準の目的を踏まえれば、高さと数量の規制は、大量保管と荷崩れの防止が目的です。法定数値より大きくなければ問題にはならないでしょう。

保管高さ

保管高さの制限があるのは、①屋外で保管する、②容器を用いず(バラで)保管する、の2つの条件の両方に当てはまる場合です。

下記の図の左半分をご覧ください。「構造耐力上安全な囲い」とありますが、コンクリート壁などを用いた、廃棄物の荷重がかかっても問題ない囲いのことです。囲いの上部から50㎝は空間を開けたところまで積み上げてもよく、その高さを壁から2mは維持します。それ以降は50%勾配で積み上げてよいことになっています。

右半分は、囲いの強度が十分ではなく、廃棄物の荷重をかけられない場合です。この場合はもちろん地面から50%勾配で積み上げることになります。

このようにして囲いから積み上げた結果の最高の交点の高さを、掲示板の「保管の高さ」欄に記載します。

  • 50%勾配とは

水平方向に2、垂直方向に1の長さで作られる角度で、1/2勾配とも呼ばれます。1/2ですので、0.5=50%勾配ということで、角度としては約26.6度になります。

数量は、運搬にあたって保管(積替え保管)する場合と、処分にあたって保管(処理施設に投入する前の保管)する場合に上限が定められています。

積替え保管の場合は、1日当たりの平均的な搬出量の7倍(=7日分)であり、処分にあたっての保管の場合は、1日当たりの処理能力の14倍(=14日分、例外あり)が法定の保管数量の上限となります。ところが、保管場所がそれほど大きくなく、法定数量を保管するだけのスペースがない場合や、保管場所が複数に分かれている場合は、この数字を記載するのは不適切でしょう。上記の保管高さも参考にしつつ、現実に保管できる数量を記載することが多いようです。

汚水対策

汚水が生ずるおそれがある場合は、排水口その他の設備(油水分離層など)を設け、底面を不浸透性の材料(アスファルトやコンクリート)で覆う必要があります。汚水が生ずる可能性がなければ対策は不要ですが、安全性や作業性を考慮すると何らかの舗装はしたいところです。

その他の環境保全措置

飛散、流出、地下浸透、悪臭がないように上記以外の必要な措置を講じ、ねずみ、蚊、はえ、その他の害虫が発生しないようにすることが求められています。無責任に放置することなく、適切に管理しておけばこのようなことはないでしょう。

そもそも保管とは?

掲示板や囲いなどのハード面での対応が必要であるため、どこが保管場所なのかを明確に特定しておく必要があります。ところが、例えばオフィスのゴミ箱、フロアや建屋ごとの一時集荷場所など、実際には判断に迷うケースが少なくありません。

これについては、親会社サイトのこちらの記事で様々なケースを取り上げて詳しく解説しましたので、ご覧ください。

なお、収集運搬後に廃棄物をおろした場所で、内容物を確認したり選別作業だけをするのであればその場所は保管場所ではありません。しかし、その場所か、重機などで構内移動した場所で一定期間置かれる場所は、保管場所と考えて間違いないでしょう。

罰則

保管基準違反に対する罰則(直罰)はありません(建設廃棄物の排出事業場外での保管届出を除く。法第12条第3項関連)。したがって、保管場所かどうかの判断に迷ったり、保管量が少し多かったりしても、それだけで直ぐに罰則の対象となることはありません。

しかし、保管基準違反に対しては改善命令が出されることがあり、これにも従わなかった場合は刑事罰の対象となります。もちろん、実務上は改善命令が出される前に行政指導があるでしょうから、それに真摯に対応するようにしてください。

特管、石綿含有、水銀使用製品産業廃棄物の場合

特別管理産業廃棄物、石綿含有産業廃棄物、水銀使用製品産業廃棄物については、それぞれの特性を踏まえた容器の使用、揮発の防止措置、他のものとの混合防止をすることなどが定められています。

詳細については、JWセンターがこちらで法定要件をまとめていますのでご覧ください。

有害使用済機器(雑品スクラップ)の場合

有害使用済機器とは、有価物として取引される「家電4品目(エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機)」+「小型家電28品目」のことです。小型家電とは家庭で使用される家電4品目以外ののほぼ全ての電気製品を対象としており、多種多様な製品が対象となっています。イラストで対象品目を説明している資料(PPTダウンロード)もあるのでご覧ください。

有害使用済機器の保管基準は、排出事業者と、「廃棄物処理法」、「家電リサイクル法」、「小型家電リサイクル法」のいずれかの許可や認定を受けている事業者には適用はありません。しかし有害使用済機器は、リチウムイオン電池などからの発火により火災を引き起こすことがあり、通常の産廃より厳しい基準が設けられています。有害使用済機器の規制内容については環境省のこちらのページの、特に有害使用済機器の保管等に関するガイドラインで詳しく説明がされています。リチウムイオン電池を含むモノを排出、受入れる場合は当然ですが、通常の産業廃棄物の中に混入してしまう可能性もありますので、適用を受けないとしてもガイドラインを参考に対策を検討してください。

参考リンク

  • 学ぼう!産廃:JWセンターが、保管基準の法定要件について丁寧にまとめています。
  • 廃棄物処理法あるあるスタディ:親会社の大栄環境に提供した記事です。「ゴミ箱は廃棄物の保管場所なの?」というタイトルで、保管について様々なケースを検討しています。
  • おしえて!アミタさん:堀口が以前の職場で書いた記事です。 「保管場所に設置する囲いは、ロープを張ったようなものでもよいのでしょうか。」というタイトルで、囲いについて検討しています。